JUNK's RED ROOM
RED DIARY NOW


--RED DIARY--

My Heart was disappeared.

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(2003.1〜2003.3)



12月30日




 


12月28日 ブルーベルベットナイト Vol.33

昨日は33回目のブルベが青い部屋で行われた。いつも出番が2時頃とかなので、12時ぐらいに青い部屋に行くのだけど、今回は当日出演時間が変更になったこともあり、初めて9時のスタートから夜が明けるまで、まるごと最初から最後まで気合いでブルーベルベットナイトに参加してみた。
それにしても、なんて濃い!なんて濃い夜なのだ・・。と思った。
私達DARKSIDE MIRRORSは出番が4時近くになり、その頃には既に頭の中の妄想と現実がぐちゃぐちゃに混じり、訳がわからなくなっていて、くらくら目眩がしていた。この一夜をラストまで楽しめる人はほんとうにスゴイと思う・・。何がすごいかうまく言えないけど、詩人や舞踏やSMショー、大勢の出演バンドの世界観がそれぞれあって、とにかくなんてめまぐるしい展開の一夜なのだ!!頭が爆発しちゃうよ。

ということで、どんな出演者達がいたかというと、まずトップバッターの バンド、絶対無は和が土台にある雅楽を連想させるポップス、そして恒松正俊さんはギター2本のアコースティックセットで感情にぐっとくるフォークナンバーをやっていた。それから、舞踏の阜佐和香さん。KILLBILLのユマサーマンの日本刀の立ち振る舞いなんて気品もクソもなく棒振り回すアメリカ人の暴力性ばかりが目に付いて美しくもなんにもなく滑稽だったけど、日本刀を美しくかざし立ち振る舞う佐和香さんの舞踏からは日本人の本来の持ってる気品や強さや儚さや苦悩みたいなものも感じられて、酔いしれてしまった。そしてシンデレラの馬車もカボチャになる時間、AM12:00を過ぎて始まったSMショーでは女王サマが奴隷を残酷に痛めつけるバックにはフレンチポップが流れたりヨラテンゴ(ドノバンではなく、おそらくこっちだった)の「魔女の季節」が流れたり、選曲が面 白くリズム感あるショーで思わず音楽にノったりしてしまうが、・・でも目の前で繰り広げられる世界はかなり過激である。血も流れて痛い痛い!・・さすがのプロのショーだった。SMショーを見ながらたくさんの事が頭をよぎったが、もちろん秘密だ。
快楽には様々な探求方法が存在すると思うけど、中途半端な感じが一切ないので見てる方としてはものすごいインパクトと衝撃が走った。背筋がゴワゴワっとした感触を味わう。
妄想も恐ろしいけど、現実とはさらにおそろしいのだと改めて思わせられるような。愛を感じるショーだった。もし私が選曲担当ならば、SCREAMING JAY HAWKINSのI put a spell on youからはじまり、女王様が火を吹く瞬間はアーサーブラウンのFIREの狂ったサウンドを流したい!クランプスのHUMAN FLYもいいな。ゾンビーズの2人の季節も。そしてSUICIDEのChereeはクライマックスに・・!
SPRRAYはノセる押せ押せのロックで客を煽るあおる!熱いライブだった。
詩人のスダシンゴさんは、前見たときのノイズギターをかき鳴らすスタイルではなく、いろんな怒りをどっとぶちまけていた。ド悪魔のメイクとかしても似合いそうだなーなんて思っちゃったりして。あと、もう一人の詩人の炎氷さんの詩はほんとに痛快だった!ちんぴらみたいな格好で言葉のリズム感まで徹底してて、いかがわしくてサイコー。言葉の響きだけでもかっこよくてゲラゲラ笑ってしまう。詩心はたとえば私の好きなボードレールとはまた違うのだけど、根本的に否定から肯定の発想というか、社会への批判とか自己投影にブラックユーモアがあって、きっと自分にも相当厳しい人なんだろうなーと思う。「ジャムセッション」を聞くのはたしか2,3度目。とてもとてもスカっとする!詩集「かりそめの安楽椅子」思わず買ってしまった。人の詩を聞くのって一見すると、とても自己満足な世界に思えてしまうけど、ドキっとしたり「なるほどな!」と思わせられたり同じ気持ちを感じると、また演奏を聞くのとは違うスリルを味わえるから楽しい。やっぱりライブ感って大事だなぁと思った。LOADEDは演奏と豪華キャストにぶっ飛ぶサイケデリックな世界観で「向こう側に突き抜けろ!」と賀句りんがマイクを振り回し、口から毒を噴射させ、激しいライブだった。ラストはダビデチオ!ボブ氏の水玉 のワンピース姿を初めて見た!ハイでイカしてた。え〜もう終わっちゃの?というぐらいあっという間に感じたが、・・楽しい時間はアッという間ということかも。
今年最後のブルベ・とてーも濃い一夜は無事、幕を閉じた。 人からエネルギーをもらうっていうのは素晴らしいことだなぁ〜。出演者の皆さんもブルベのパーティに参加した皆さんも、皆お疲れ様でしたー。
私は結局、今日は行く予定だったIntegrated Threeのライブも寝過ごしてしまった・・・。
すっかり夜行性のまま、今からmonks time!


 


私達のライブでは、リザードメンこと宇治晶氏がまたもや強烈な映像を作ってきてくれていて、リハの時にちょこっと見せてもらったエレベーターで流す映像にはもう・・ぶっ飛んだ!
ドイツ表現主義時代の傑作映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922)の映像をいつものリザードメンのドラッギーな映像に重ねてあって、あのとがった耳、長い爪の吸血鬼の重苦しく怪奇な雰囲気とリザードメンの映像が見事にハマっていてヤバイ!カッコイイ〜ッ!
「吸血鬼ノスフェラトゥ」は、モノクロのサイレント映画で、近年のロマンチックな吸血鬼とは完全に一線をひいた作品。吸血鬼を語る上では決して外すことの出来ない世界で最初の吸血鬼映画なのだ。
これを見ずしてホラー映画など語れない。私もホラーファンの一人として認知しているのだが、しかーし!!私はこの映画はまだ見たことがないのです・・
。み、みたい!!

うちらの演奏はというと・・・はてどうだったんだろう。出番が来ると、それまで照明係&バーをやっていたネロはすでにぐったりした様子で楽屋に入ってきて一言「ほんとにライブやんの・・・?」みんなでほんとにそうだね〜とうなずき合う。ブルベ・オールナイトも終盤も近づく寸前、丑三つ時もおわる頃。私は頭は満腹状態だったが、お腹はペコペコのペッコリで、グーグーいっていた。もう「タイムボカン」状態。
ルーシーがみんなの気を引き締めようと思ったのか、不意にバッグから1冊の古びた文庫本を取りだした。タイトルは「3分間怪談」という ホラー短編集の文庫。昔買ったもの。まだあったのかーと密かに感心。そしてそのまま一編の話の朗読を始めたので、皆でぐったりしながらそれを聞いた・・。ルーシーが話を読み終わったと同時に、S.Eのブランクジェネレーションが流れ出したので、ええ?うわー!とタイミングにびっくりして順に出陣!今年一番のダークなテンションのライブだったように思う。来年は目指せキャッチー!

I belong to the ______ generation.
but I can take it or leave it each time.....................
 

12月25日 クリスマス

今日はクリスマス、おめでとう。 クリスマスをけぎらっている連中もいるようだけど、私はそこまでへそまがりではない。嫌いなのは、町で流れているおなじみのクリスマスソングぐらいだ。フィルスペクターの 「CHRISTMAS GIFT FOR YOU 」のアルバムなんて流れてれば、もっと素敵でムードいっぱいなのになーと思う。暖炉みたいに暖かくって、どこか切なくなって胸がきゅんとしてしまうあのサウンドっていつ聞いてもステキだなぁーと思う。 フィルスペクターといえば、 WALL OF SOUNDだ。彼がモノラル・サウンドにこだわったのは、ステレオによる楽器分散が彼の理想の音楽に程遠かったからだそうだ。彼の伝記はまだザザっとでちゃんと全部読んでないけど、エピソード一つ一つがとても面 白かった。 録音は、1台ずつのピアノ・ベース・ギターなどの楽器を用意してからユニゾンで弾かせ、一方でリズムなんかは1トラックによる一発録音をしてたんだそうだ。一発録り、理想的だ。・・ フィル・スペクター氏は今どうしているのかなぁ〜・・今年、殺人容疑で逮捕されたっていうニュースには驚いたけど。
とにかく、たかが「クリスマスの日」であろうと、なんでもない日だろうと、何か大惨事が起きたわけでもなく、カレンダーの日付のその日だというだけで幸せな気分になったりハッピーなひとときを過ごせることはとてもいいことじゃないかと思う。
「キリスト教って都合いいことばっか言っててわけがわからん」というのとはまた別 の話でいいのだ。

私は大福を食べながら、ダークでノイジーなクリスマスの夜を過ごした。


Merry Christmas (I Don't Want To Fight Tonight) (RAMONES)

 

12月12日 ドッペルゲンガー

テレビのニュースで面白いニュースを見た。
「ある中学のカウンセラーをしている心理学の教授が自分とそっくりの双子のもう一人を使って、その学校で自分になりすまして子供達にカウンセリングしていた。」という話だった。
「それがある日学校側にばれてしまい、自分の替え玉を使ってカウンセリングするなど、子供達の心を踏みにじる行為だ・大問題だとして、その教授は教育委員会に訴えられた」
話の大筋はまぁだいたいこんなところである。
とても興味深い話である。双子が入れ替わったりする話といえば、「2人のロッテ 」という物語がある。私も子供の頃、学校のテストも入れ替わって受けたり、周りをこっそりだましたりしてみたかったと、よく残念がったので実際にこういうニュースが起きているのを知ると、同じ双子としてクヤシイというか正直「やってくれた!」という思いだ。今でも「もしそっくりにうまれていたら」と空想してはそんな話をお互いよくするし。「双子の人体実験」の誘いを受けたことがある、という昔話を日記に書いたことがあるけど、やはり双子にまつわる話はとても興味深いなぁ〜。

今回まずビックリしたのが、現代の中学校は「カウンセラー」がいるのが当たり前なんだということ。・・・「へぇー」である。
そして、次に驚いたのが、そのカウンセラーは、親戚もどっちかわからないほどのそっくりの双子だったということ!
顔も服装の好みも髪型も声も背格好も同じで親族でさえ見分けがつかないくらい、うり二つなんだという。見分けるポイントは、なんと、匂いであった!片方がきつい香水をつけているから、それでいつも見分けるんだという・・・。これには笑ってしまった。
はたまた、どうして学校にばれてしまったのか?それはカウンセリングを受けていた子供ではなく、先生同士の会話だったそうだ。知ってるはずの学校行事を知らなかったり、周辺の地理を知らなかったり、話をしていて奇妙な行き違う箇所がでてきて、そこから「怪しい」との疑いがうまれ、そのあげくに「やっぱり!」ということになったらしい。ほぅー!
そして、 それを見破った教師がそのカウンセラーについて語っている音声(のみ)が流れた。
「もうね、わかった瞬間は、あ〜やっぱり!って思いましたよッ〜・・。前から変だと思っていたんでね、もうね、言葉が出ませんでした、(ベラベラベラベラ〜)・・・」 そう自分が見破った瞬間を振り返って興奮した口調で手柄のように語っていたのが、とてもおかしかった。(たしかにお手柄だ)学校側が怒るのもわかる。 だって、だまされたんだもんね。決して気分がいいものではないだろう。
しかし学校の言い分もニュースの見出しも「子供達の心を踏みにじった」として報道しているのは変だと思った。話によれば、子供側からは特に何も問題が出ているわけでもなかったのだという。つまり子供は何も気づかなかったのだ!!じゃあ、いいではないかと思ってしまった。
それに そのカウンセラーの双子のもう一人も心理学を専門して研究している人間だという。つまり、その双子は2人ともカウンセラーのスペシャリストなのだ!きっと悩みを抱えて相談してくる子供の話を真剣にきいたり、親身になって色々アドバイスしてあげたりしていたんだろうなぁと思う。踏みにじられたのは「子供の心」ではなく、大人の方なんだろうな。ぷぷ〜。
バレてしまった翌日、双子のカウンセラーは2人揃って校長室に土下座しに行ったというから、ちょっぴり泣ける、おもしろ話だった。まるでマンガみたい!
編集者としての血がさわいでしまう!人間の狂気といったら、心理描写の恐怖といったら、まずこの人しかいない 楳図かずお先生にぜひこのテーマで漫画化してもらいたい。双子・・?いや、ドッペルゲンガーがいい!もちろん漫画化するのであれば、コメディータッチ・主人公は子供、というのではなく、シュールなサイコホラーがいい。
ドッペルゲンガーは、ドイツ語で、二重の意味である。英語のダブル(Double)、つまり、分身のことである。オートスコピー(Autoscopy)、自己像幻視ともいうらしい。 ドッペルゲンガーを見ると死ぬとか言われているけれど、ここで見る自己像というのは、リンチの「ツインピークス」のドッペルゲンガーがそうであるように、自分の姿と必ずしも似ていないのだそうだ。表情が異なったり、さらには若かったり甚だしく老けて見えたりすることもあるという。重要なのは「どのような姿をとって現れても、その人物像が自己自身の像であると直感的に確信して疑わない」のがこの現象の特徴なのだそうだ。(藤縄昭「自己像幻視とドッペルゲンガー」より)
「神の左手悪魔の右手」に登場する教師のような、ある秘密を抱えた苦悩の教師が登場し、現実と妄想の間でもう一人の自分を生み出していく。記憶のゆがみ、幻想と夢、同時進行していく二つの世界。というようなダークサイドミラーものがいい、とか勝手に想像しちゃったりして・・。

↓これも興味深かった。
http://www.lennon-chapman.com/doppelganger.htm

Oh Yeah (Can)


12月6日 寒い危機感

最近、街を歩いているとよく耳にする歌がある。「それでいいではないか!」というような事を合い言葉にやたらと連呼している歌だ。それが耳に入るにつけ、口ずさむ人を見るにつけ、嫌悪感を感じ身震いが起きる。毛穴をふさがずにはいられない。一聞したところ、なんだか全ての若者、いや万人に向けた人生のゴーゴー応援歌のようである。しかし、よく聞いていれば、それでいい=なんでもいい。「すべてどうでもいい」少なくとも私にはそう言っているようにしか聞こえない。曖昧なことを自信満々な言い切りで言っているので、人々はなんだか勇気づけられる気分にでもなるのだろうか。完全な現代病に侵された安易な発想だと思う。まるで思考をストップさせ、目の粗いザルのように全て垂れ流すこと、自己愛しか存在せず、それが唯一世の中で信じられること、正しいこと、カッコイイことだとばかりにおおっぴろげに言い放つ。ナルシストもいい加減にしろと言いたくなる。埋め立て地は夢の島か?!ただのゴミの山である。
そうやって人の心を洗脳しているように思えてならない。いいか悪いかなんて他人に決められてどうする!?なんて恥ずかしい発想なんだろうか、最低だなと思っていたら、私の友人もその病に侵されているようである・・・。オーノー!I HATE !HATE!!
現代社会の落とし子に成り果てたらもう終わりだ。探求心を失ったら、それは死と同じことだ。「無理するのはやめよう」とか「楽に生きよう」?ただの保身じゃないか。一生 生ぬるいところにつかって、隣の人と肩を寄せ合って、ナーナーで傷をなめあうような、でも本当は自分のことしか考えてないっていうのがバレバレで、そんなのって最低だ、私は。そんなのただ「甘い」としかいいようがない。自分までごまかして都合よく逃げ道作ってるだけに思える。フヌケだ。逃げ腰野郎と同じだ。
インディアンの旅から帰ったばかりの細野さんがずっと前に言っていた言葉を思い出す。「人間、苦悩してこそ人生なんだと思うなぁ・・・。」私はその言葉がいまだにずしんと心にきていて忘れられない。本当に世の中はどんどん便利になっていく。情報もたくさんありすぎて選び放題。これで人間まで楽な方向になびいていったら、機械に乗っ取られる日も近いだろう・・。

イラクに自衛隊が派遣されることになるらしいけど、まだここにきてアメリカの子分やってんのかとビックリしてしまう。ださすぎる。マスメディアや世間はキチガイや犯罪者ばかりをこれでもかと吊し上げるくせして、肝心なところは当たり障りなく当たり前のように物事がいつのまにか進んでいく。一体どうなってんの?平和ぼけもここまでくると絶句だ。こんな時こそHATE &WARの精神が必要だと私は思う。時代遅れの若年寄りやボケ老人やヤッピーのはびこる高齢化社会の波をぶちこわせ、老いぼれた心をぶちこわせ!だまされてたまるか。さぁ立ち上がろうじゃないか!反骨精神を捨ててはいけない。生きた屍になってからでは後の祭りだ。

Think (Blues Brothers)


11月27日 ゾンビの一日

昨日の夕方、小腹が空いたので、いやし心で食べたコンビニの天むす。それが見事に当たってしまい、一日中部屋をはいまわった。最初はまさかそれだと思い当たらなかったので、毒でもまちがって飲んだかと思ったぐらいだった。頭の中では何故かVUのヘロインとJBのゲラッパが同時展開で鳴り響き、私は無言のままテーブルの下に転がって体をガクガクと震わした。助けが来た頃には、すでに意識が遠のいていく頃で目はうつろで頬はこけ、すっかりジャンキー面 になっていたそうだ。その後、やっとこさ峠を越え、吐いても吐いても吐き気が治まらないので、トイレを寝室として就寝・・。
今日の朝、ゲロゲロな体を引きずり病院に行き、菌を殺す薬を出してもらったが、飲んでも全然変わらず胃がギリギリして激痛のまま一歩も歩けず・・・。食中毒ってほんとに最悪なんだな〜!おまけに胃が痛いと力が入らないので気まで弱くなるんだなぁ〜はぁー・・。げっそりだ。あそこのコンビニは前から何か怪しいと思っていたが、やっぱりだったと身をもって確信した。 昔、生ガキに当たったときもそうだったけど、思い出すだけで恐怖。ああ、もう二度と天ムスも食べるまいと誓った。大好きな天むすだったのに、残念だが、これでもうお別 れか〜・・・。しかし食中毒って、夏だけじゃないのだなぁー。


11月24日 SHEENA'S BIRTHDAY PARTY!!

昨日はシーナ&ロケッツの結成25年を祝うパーティが渋谷AXで行われた。この日はシーナの誕生日でもあるから、ダブルでハッピーな日である。私はダークサイドミラーズとして前座で出演した。ライブの感想まではいちいち書かないけど、とても最高な体験で最高な一日だった!!!
それからライブハウスではなくホールという巨大なステージに立つということはバンドにとって初めての経験だったので、たしかに想像はしていたけど実際立ってみると、そのでかさにギョエー!だった。出演が決定したのは毎月やってるブルベのライブの直前にルーシーにかかって来た電話だった。それを聞いたネロが「よくわかんないけど『この青い部屋がまるごとステージ』みたいなもんでしょ」とか言うので、うわうわー!と思っていた。この日が来るまで、ここだけの話、内心ドキドキで夜眠れなかった。SUICIDEばかり聴いていた。アランヴェガの奇声と完全にシンクロして、胸がワナワナして武者震いで発狂してしまいそうだった!だって私にとっても11/23はメモリアルな日。もちろんシーナの誕生日でもあるけど、ダークサイドミラーズの出発点だからだ。5年前のこの日の前日、私とルーシーとネロはシーナに捧げる曲を演奏したいと思い立って一日限りのバンド、ベースメントフラワーズを結成し次の日のライブで1曲演奏したことがきっかけでバンドを始めた。そして今ダークサイドミラーズをやっている。とにかく時の流れというのは早い。
この20年以上ロケッツの地方ツアーに付いていったり、ライブも何千回と見ていて思うのは、正真正銘のロックンロールバンド、ライブバンドだということ。ジョンレノンからジョニーサンダースまで撮り続けたカメラマンのボブグルーエン氏が今年のフジロックのナンバー1だったと断言するだけあって、ホールのようなどでかい箱だろうと、人が100人入れば窒息しそうなライブハウスだろうと、どこでも自分たちの最高のロックンロールを最高のテンションでやれるバンド。そしてロケッツファンはかなりロックに詳しくそしてロックにうるさい!わたしの知っているロケッツフリークらは皆そこらへんのダッサイjポップなんか聞きやしないし、ダサイ音楽メディアにも惑わされることもなくレコード屋でカッコイイ音楽を掘り下げては常に音楽の刺激と興奮を味わっている筋金入りのロック好き。そんな本物のブルースやロックやパンクを心から愛してやまないクールな人たちだらけだ。なので、ロケッツファンに我々のライブを披露するというのは、どっかから「ふざけんな〜!」と石が飛んでくるんじゃないかとか思ったりして、内心ドキドキひざがガクガクだった。一緒にステージに立たせてもらって、初めてわかった、広い所でライブをして1500人の観客を熱狂させるというのはかなり凄いことだ・・ほんとうにそれを痛感した。それから25年間片時も休まずにロックをやりつづけていること、はっきり言ってそれは普通 の感覚 じゃできない。ハンパじゃない。重度のロックンロール・ジャンキーだ。その血は私にも流れているもんねー!ほんと最高にハッピーな時間を共有できて幸せだった。私もロケッツファンの一人として、ロケッツを通 じて、たくさんのかっこいい音楽と出会えた。25周年、おめでとう!サンキューシーナ&ロケッツ!!・・そんな思いでステージに立った。緊張は全くしなかったわけではないけれど・・I WANNA BE YOUR DOGまでやりきった。お祝いできたことが本当に嬉しかった!!

ロケッツのライブはゲストで途中スカパラホーンセクションが入ったりして、いつものパンクロックなワイルドさに加えて、ハーレムシャッフルやアルクーパーのゾクゾクするブルーズナンバーもやって、それから60'Sのムードもあったり、いつもよりもゴージャスでハートフルな雰囲気だった。
ユーメイドリームは、ベースのなべのジュニア緑郎君を抱っこして聴いていたら、なんだか胸がぎゅーっとしめつけられた。「お父さんカッコイイねー!」とロクロー君に言うと、恥ずかしそうにうつむいてうなずいたのでかわいくて抱きしめちゃった。ロクロー君はまだベイビーだけど、好きな音楽はラモーンズとシーナ&ロケッツというので、まったく私とおんなじルーツだ。まだ5歳足らずなのに、ラモーンズの曲を日頃口ずさみ、初期メンバーの名前まで(「トミーラモーン」)言える。スゴイ・・!昔の人はロックやってるってだけで近所のおばちゃんから親不孝者だなんだ悪い噂を立てられたりしていたらしいけど、今の時代は少しはまともになってきてるだろうな。私が小さかった頃だって親がロックバンドやってるというだけで、周りから一線を置かれたりした。仲のよい子の親から「悪影響があるから、うちの娘と遊ぶな」とかフザけた事を学校帰りに呼びつけて言われたりしたこともあるし先生も不規則な生活がどうのだなんだとただのイメージの知ったかぶりでうるさい小言をやたらと言われたりした。PTAのオバ連がいっつも白い目を向けていて、ぐちゃぐちゃ因縁を付けてうちに押し掛けてきたりした。そもそも親が夢中にやっている姿を子供に見せることは恥ずかしいことでもなんでもない。八百屋の娘だろうがロッカーの娘だろうがおんなじだ。オープンで何が悪いのだろう、むしろかっこいいことだと思う。 親子共演がどうのとか相変わらずロックのロの字もないゴシップ新聞誌がピントのはずれた古くさいこといってたらしいけど、前座で出さしてもらって25年目の誕生日パーティに参加しただけのことなのに・・・ なんか大げさだな〜・・。(それを見出しにするぐらいなら、25年も現役で ロックバンドやってることをたたえる記事を書くべきだ!!)

それから、ライブが終わった後はレッドシューズに場所を移して朝方までみんなでパーティ!ラモーンズやクラッシュ、ドアーズや・・ロックンロール・ナンバーがガンガンに流れる中、NYから駆けつけたカメラマンのフレッドや友達、日本各地から集まったロケッツファン、おまけに内田裕也さんまで来て、みんなで汗だくでクレイジーな夜を過ごした。みんなもそりゃあもう狂いまくり!!モッズスーツのエジソンが革ジャンのスキンヘッドとステップを踏んで共に踊っている姿は、なんか「さらば青春の光」を思い起こさせて吹き出しちゃった。

最高にロックンロールな夜だった!
HAPPY BIRTHDAY SHEENA!! THANKS,S&R!!! THANK YOU FOR ROCK'N'ROLL!!

Kick Out The Jams (MC5)


11月8日 視覚のレトリック

今日は早起きして、2ヶ月ぶりぐらいに電車に乗る。電車は乗り慣れていないので、ぼけっとしているとスピーディーな動きをした群衆にのまれて目が回ってしまう。慎重に人混みが減ったすきをみて切符をササっと買って空いた車両に乗り込んだ。渋谷に着き、銀座線の改札の前で待ち合わせしていたルーシーと会い、2人で切符売り場の上の方の料金表を見ていたら、突然ルーシーの右隣に一人の男がドシーンと音を立てて転がり込んできた。すごい勢いで切符売り場の台に激しく体を打ち付けそのまま下を向いて動かなくなったので、私もルーシーも一体何事か?!と、硬直してしまった。しかしまわりは誰一人としてその男に目もくれないで早足で通 り過ぎてゆく。とても奇妙な光景だった。私もはっと我に返り、まだその男をぼんやり見つめているルーシーの腕をつかんで物騒な事に巻き込まれないようホームへといそいだ。やっぱり駅のあの忙しいぴりぴりした空気は苦手だ。しかしなんといっても今日は、宇治さんの個展のラストデーである!先日、NASAのブラックホールの映像を見たとき「あ!」とリザードメンの映像を連想して思わずメールしてしまったぐらい、私はリザードメンの世界にぞっこんである。前にもらった映像を部屋で何気なく流していたら目がトロントロンになって動けなくなったこともある。曲に合わせて作ってくれる映像も後で見せてもらうと、かなりやばいものが次々と押し寄せてくるのでドキドキする。


銀座に着くと、さすが週末の銀座とあって、人がいっぱいだ!身なりのいいおばちゃま達がゾロゾロと目の前を歩いていたりして、私の住む下北にはない光景についついきょろきょろとあたりを見回してしまう。いなかもん丸出しだ。 銀座はほとんど行く機会がないけれど、ギャラリーとデパートがたくさんあるのだな。てくてく歩いてギャラリーQに到着し、中に入ると、お客さんが込み合っていた。真っ白な部屋の壁にはたくさんの「3次元宇宙への入り口」が用意されていた。この部屋はまるで4次元ワープゾーンか宇宙ステーションのようだ。こんな駅なら大歓迎!!奇妙な入り口が一つの部屋にたくさんあるので、まずどこに行こうか目移りしてしょうがない。勝手な解釈だが、宇宙のブラックホールや邪馬台国の予言者の見ている未来図、伝説の暗黒の森へとつづく・・・そんな入り口の数々。端の方に外側から見た地球もポカンと浮かんでいたりして楽しい。今回のタイトル画になっている作品は画廊の中でも一際大きく飾られていて、これは見るたびにエロティックな幻覚をかき立てられる。今回この個展に足を運ぶのは2度目なのだが、宇治さんの作品をじーーーっと眺めていると、また前回と違った印象を受けた。前回はまるでその一つ一つの世界が生きてるみたいで、ただ不思議で、ユラユラ揺れながら頭がポーっとなったが、今日は、ギャラリーに入った瞬間、頭のスイッチがオンになってピュ〜〜ンと神秘の世界に早く飛んでいってしまいたいという欲求が強く渦巻いた。さて、どの入り口から入るか。きょうは3次元の世界に何のためらいもなく入っていけるぞ!ふっと横を見るとブラックジャケットに身を包んだ見覚えのある男・その名も黒ダビデが背を向けたまま、暗黒色の大きな目玉 の前で痙攣していた。おっとこれは邪魔をしてはいけないな、と声をかけるのを後にし、奥の方へ・・。既に先にネロも来ていて、奥の部屋のテーブルで美しい舞踏家の岡田サワカさんと「自分で築き上げた世界をいかに自分でぶち壊すことができるか」という見えない壁について熱く語り合っている。時折興奮したネロのでかい声が響いていた。また、恒松正俊さんも来て火曜のライブのお誘いを受けたり、リザードメンの主治医という方から医学的な観点から見た宇治さんの絵の解釈の話を聞いたりした。普段ブルベでお会いする方々がいたりして、こうして別 の地で会うとお互い暗がりばかりで会っているので妙な感じだ。なんとなく照れ笑いしながら談笑する。ちょっとパーティ気分。奥の部屋の壁に飾られていたある絵が気になったので宇治さんに壁から外してもらって手に取ってみると、歪んでゆくダークな世界の中に悪魔がじっとこっちを見ているのが一瞬だけ見えた。おおーリザードメンの生み出した悪魔だ!興味津々だ。面 白いことにギャラリーQのおじさんは、この絵を「中にプロレスラーがいる」と言ってきかなかった。どうやら本当にプロレスラーが見えるらしい。私にはどう見ても鹿の頭を被った尖った耳の悪魔に見える。まさに視覚のレトリックだ! ギャラリーQの紹介文に「私が見ているものは、あなたが見ているものと決して同じではない。経験というフィルターによって今、見ているものがある。そしてまた明日になれば別 の情報によって、さらに上書きされて同じものではなくなる。」と書いてあったが、それは本当なのだなぁと思った。目玉 の絵と迷いに迷ったが、この悪魔が潜んでいる3次元宇宙をひとついただくことにした!届いたら、プロレスラーが中にいたらどうしよう。
いや、それはないだろう・・悪魔の棲むブラックホールが届く日を指折り数えて待つとしよう


悪魔の棲むブラックホール

ブラックリザードメン!



photo by 宇治晶氏 

帰りはまた電車に乗るのが嫌だったので、渋谷からは歩いて家路まで帰る。歩くのがとても気持ちいい季節だ。


11月7日 ある悲劇

ノワールデザイヤというフランスのバンドがいる。最初よべこがカッコイイと聞かせてくれた時、一発目の音でノックアウトされてしまって以来、私のお気に入りのロックバンドだ。よべこはフランスで彼らのライブまで見に行ってきたくらい相当気合いの入ったファンである。よべこの話では、あっちには熱狂的な若者ファンがたくさんいるそうだ。フランスのCDショップからネットで手に入れ、私も一歩遅れて彼らの音楽に夢中になった。サウンド的には、KID Aあたりのレディオヘッドに少し近いか、いやもっと繊細で粒立っている情熱的なロックだ。そしてボーカルの声のザラっとしたフランス語の質感がめちゃくちゃかっこいい。一言でいうとセクシーだ。スカイドック社のキチガイパンク親父・マークザマティ(通 称:マーク爺)が去年フジロックで日本に来た時、早速、知ってるか聞いたら、マーク爺も、奴らはいい!と深くうなずいていたので、うぉし!と思った。日本ではほとんどノワールデザイヤについて知ることができないので常にフランス人に会うと色々聞きまくってしまう。
しかし、今年の夏に衝撃的なニュースを知ってしまった。


そのニュースをきいたのは、フジロック直後、マーク爺について一緒に日本に来たフレッドからだった。よべことフレッドは古いレゲエ友達でもあるのだが、とにかく変で、絶対私とも気が合うから紹介するといって、ある日うちに連れてきた。
フレッドは映画を撮るのが趣味で、自称映画監督という人だった。見た目はメガネをかけて一人でニヤニヤしてて、どうみてもオタッキーまるだしな感じ、よくみると服装は気取ったオシャレさんだった。日本にビデオカメラを持ってきていて、その辺一帯をネタ帳のように撮りまくって録りだめていた。うちの中はだめと言ってもビデオをずぅーっと回し続け、カメラの前でお願いだから日本語でなんかしゃべれと言ってきたりするのだった。なんでもフランス人からみて日本語の響きというのは、歌を歌っているように聞こえてとてもファニーで面 白いんだそうだ!最初はなんて変わり者だ、と思ったが、キムフォーリーを一緒に聴いているうち色々趣味が合うことがわかり、「ビームービー!」が合い言葉でうち解けた。 私は国境を越えて同じ趣味をわかちあえた喜びでいっぱいになり、とてもハイになっていた。調子に乗って、これが日本のカルトムービーだと昔の大映のおばけ映画というか妖怪シリーズ 「妖怪大行進。妖怪大戦争」を見せ、フレッドは面白がって、その映像を持ち帰ると、またしてもビデオカメラでテレビを映しまくっていた。我々3人はもう気心知れた兄弟の気分だった。そんな楽しい宴の最中、フレッドの携帯が鳴った。それはフランスにいる友人からだった。
・・・それは、フランスの有名女優の死を知らせる緊急ニュースだった。電話が終わると、私達はフレッドのしょげくりかえった言葉に思わず息を呑んだ。ある映画の撮影のため、ある高級ホテルに泊まっていた女優がそこで彼氏に殺されたという殺人事件だった。そして、その殺した犯人は、ノワールデザイアのボーカルその人であった。私達は言葉もないまま信じられない思いでしばし沈黙した。なんというか、とてもむごたらしい殺し方だった。そして、その場でネットで調べてみると、フランスのニュースサイトではトップニュースになっていた。 日本のニュースサイトにはしばらくたってから「フランスの有名女優がミュージシャンの交際相手に殺された」というように伝えられ、バンド名は一切公表されていなかった。というより日本じゃ知られてないから触れてないのかもしれない。リアルタイムにこのニュースを知ってしまった私達は、愕然とした。しかしそのニュースを聞いて、どこかで冷静に受け止めている自分もいた・・・。
今日、よべこがネットで落としてきたといって、Noir Dezのライブ音源をくれたので、今ありがたく聴いているのだが、やはりため息が出るほどかっこいい・・。彼の重く情熱的な歌を聴いていると色々思うことはあるけれど、今は殺人犯として刑務所の中に入れられ、もう彼の素晴らしい音楽を聴くことはこの先できないのかと思うと、とても残念でならない。


11月5日 

きょうの夕方、久々に歯医者に行った。親不知の抜歯手術をしたのはたしかストーンズが来日した頃だから〜・・今年の3月頃か・・。
あの快楽地獄のような悪夢はもう「終わった」と思っていたのだが、まだ1年も経たないうちに別 の親不知が痛み出してしまったのである。 残り3本あったから、いつか来るのだろうなと思ってはいたが、まさか!こんなに早くその時がやってくるとは!油断もすきもあったものではない!しかし、 瞼を閉じれば思い出す。激痛の後のあの7分間の快楽に魅せられた日々・・。最初は歯医者の匂いから音からもうすべて大嫌いだったというのに、何かの拍子にあの感触に病みつきになってしまい、憑かれたように通 い続けたかとおもえば、突然、もう来なくていいよと言われてハイさようなら〜!・・さびしいような切ないような気分にかられた・・あの続きが!また、再び始まるような気がして、そんなちょっとした淡い期待をいだきながら、ちょっと小走りで歯医者にむかった。 次なるターゲットは、左下の奥しらずである!でももうこわいものなし。あの感覚を思い出しては体がビクっとなりながらも、さぁ何でもこい!といった気分だった。

先生は「久しぶりだねぇ」とまたもや背後からスッと現れ、早速診察が始まった。
口を開けた途端、「ありゃりゃりゃりゃ〜」と先生はゆっくりと確信を持った声色で言い放った。予想外な声のトーンが生々しく耳に響いた。その瞬間、前回のとき「こっちが腫れるとやばいよ〜」そう何度もしつこいぐらいに脅しをかけられていた事を思い出した。・・・ なんなんだ一体?!しかし悪い予感は見事的中で、なんと入院しなくてはいけないと言う。
まさか、たかが親不知ごときで入院など想像もしていなかったが、どうやら歯科医が言うに「極めて難易度の高い手術」になるんそうだ。前回は「盲腸より難易度の高い手術」との触れ込みだったから、今回「極めて」という表現がどれほどのものか全く見当がつかない。前回、必死の抵抗はしたものの1時間ほどあごが外れる恐怖に耐えれば、終わった。麻酔が効く中、ペンチでただぐいぐい引き抜かれるのをガマンしていれば、普通 に終わった。それを、なぜに3日も?おまけに入院するというのは、一体全体意味がわからん!
と同時に手術代を聞いたら「ん〜。10万ぐらいかな」とふつうの調子でいうので目玉 が飛び出た。思わず、「エエー?!!」と驚きと疑いの入り混じった叫び声を漏らしてしまった。なんということだ!私はこれまで、たった3日間に10万円という大金は使ったことはない!病気やけがならともかく、たかが奥歯の奥にチョコっとはえた親不知ごときに3日も時間を取られ、おまけに10万とは!日本は医療費が高いといわれているが、初めて身をもってそれを実感した。うーむ。3日も何するかというと、全身麻酔を打って、歯を抜き、そのあとは点滴をつけて療養するんだという。うーむ。全身麻酔はドキドキしてしまうが、いくら普通 にご飯が食べれないと言っても、抜歯後、2日も病院生活を強いられるほどのものなのだろうか。いったい・・。
先生が奥の部屋に入ったきり出てこないと思ったら、封筒を持ってこっちに来た。そして、「僕の義理の兄さんに書いたからね。」といって、大学病院への紹介状を渡された。これを持って新たにでっかい病院にいかなくてはいけないらしい。先生の腕では歯が立たないってことかぁ。知らないでっかい病院で一人で3日も過ごすなんて、病院の夜を想像するだけで怖い。いやだなぁ。お金もかかるし・・。今月は清水の舞台から飛び降りなくてはいけない一大イベントを控えているので、入院するならそれが終わった来月がいい。
しかし、せこい話だが、大金をたった1コの歯にかけるというのは、なんともバカバカしい気がしてならない。あたしの場合は、骨格が小さいがどうの、あごがどうので奥歯を抜くのは大変なんだと色々とレントゲン写 真を見ながら話をされたけど、やっぱりどうも納得がいかん。
・・・あー深刻な問題だなー。なんとかならないか策を練るとするか・・。

Doctor Please(Blue Cheer)


11月3日 シルベット

シルベットが先日のハロウィンの夜で7歳になった!
ある日突然、両親が北海道ツアーの帰りに家に抱いて帰ってきたのがシルベだった。 シルベットは「大きい川が流れるところ」というアイヌの意味だ。その名前の通 りシルベは野生のワイルドさと神秘を感じさせる犬だ。ムツゴロウさん王国からもらわれてきたアイリッシュ・ウォーター・スパニエルの牡で名前はその時の会場が、シルベット・ホールだったので、そこから名付けられた。アイルランドに留学していた友達があっちでシルベとおんなじ野良犬をたくさん見たと言っていたので、日本でいう柴犬のような感じだろうか。でもここ日本にはたった5頭しかいない。シルベットの他は全員兄弟であるから一生独り身だ。それを思うとちょっぴりかわいそうだけど、こうやって我が家にやってきてみんなに愛されすくすく育っているから幸せだろう。
それにしてもシルベは変わった犬なのだ。 いつもどこか宙をボーっと見つめていたり、時には空を見上げながら、すごい早さで何かを追いかけて走ったりする。ある空中の一点に焦点を当ててワンワンずっと吠え続けたりする。シルベが見ているところを見ても何もいないので、きっと人間には見えない何かが見えているのだと思う。家の中で人間と一緒に生活しているから人間の言葉をたくさん知ってる。しかし同じとこからやって来た黒ラブのロクゼットはそんなこと全然しないから、シルベは不思議な能力を持った犬なのだろうと思っていた。そしたら、あるとき聞くと向こうの兄弟達もシルベと同じように月をぼーっと眺めたり不思議な行動というか奇行があったりするそうだ!なので、この犬種はとても変わっている、というのが私達の共通 の 意見である。犬はあまり空を見つめる習性などないそうで、なんせたくさん動物がいるムツゴロウ王国でも「不思議な犬」だというので本当にそうなのだろう。もじゃもじゃでふわふわのシルベを抱いていると気分がすーっと安らいでくる。とてもかわいい!!うちにやってきた時は、ほやほやのベイビーでぬ いぐるみみたいだったのに、気づくとでかくなっていて、あ〜もうあれから7年が経つのかぁーと思った。

Can Your Pussy Do The Dog? (CRAMPS)


10月28日 ウィルコジョンソンがやってきた!!

{ミラBBに書いた感想}昨日のウィルコ@渋谷クワトロ、最高でした。ウィルコがギャッギャッギャっとマシンガンギターを炸裂させながら、赤い照明の中を目を見開き顔をまっすぐ向けたままステージをもの凄いスピードで移動する姿にヒャーっと鳥肌がたった。なんてカッコイイんだろう!横でノーマンはゾクゾクする音をブンブンきかせて、まるでザ・フライそのもの!後ろにはモンティがどっしりかまえてゴキゲンなブギのビートをビシビシ刻む!会場の熱気はほんとにすごいものでした。熱狂的なファンから革ジャンの若者までを熱狂させて踊らせていました。そしてアンコールが終わって電気がついて終演の放送がスピーカーから流れ出し、・・はー終わったと思った瞬間、ステージにまたウィルコ達が現れ(!)そのままルート66をババババッとやりはじめ、もう興奮でした。最高。会場は再び熱気の渦。素晴らしい演奏でした。 ステージが終わった後は、CDを買ったお客さん一人一人に丁寧にサインをしてあげていて順番を待つお客さんの長い列がずっと階段の1階まで列が続いてました。

ウィルコ達は今日は名古屋で明日は京都、あさっては大阪でライブします。ロックンロールを体験したい人はまだ間に合うのでぜったい行くべし!!

ロンドンのHALFMOON PUTNEYというパブでウィルコを見たことがあります。迷いに迷ってやっとパブにたどり着いてドアを開けたらロクセットをやっていて、あのときは感極まってよべりんと泣きべそしながらステージの前まで走っていきました。ライブが終わったら、ウィルコ達はステージから楽器を下ろして車に詰め込み(ローディーはいない!)3人で身軽にさぁ帰るかぁーという感じで、まさにリアルなホワイトブルースマンのライフイズライブな生き様を見せつけられました。楽屋に訪ねていったらびっくりしてとても喜んでくれて、さぞかしお疲れだというのに、帰りは一緒に車でなんと私達2人をホテルまで送ってくれました。車の中では心地いいブルースが流れていて・・・それは今でも最高な思い出です。といったら前回のパイレーツとのツアーやシーナ&ロケッツとのジャパンツアーもどれも最高の思い出だけど、自分の住んでいる町にウィルコがやってきて、生の演奏を見れるというのは最高にラッキーなことです。

 


本日のスケジュール!!

終演後、ニューCD[RED HOT ROCKING BLUES]やTシャツを買った人たちにサインしているウィルコ、モンティ、ノーマン!

一緒に写真を撮ってもらったよ!やさしいウィルコ。かんげきで涙がでた。

勇気を振り絞っておとといのライブビデオを渡したところ。ひゃー!ウィルコはパッケージに書いたメッセージを読んでくれているところ!

Thank you,WILKO JOHNSON . Thank you for Comin'! Thank you for Rockin Blues!

10月25日 BLUE VELVET NIGHT Vol.31

今日はブルベだった。ハロウィンハーレムな夜だった。
ハロウィンは31日(金)でしょ?なんていう人がいたら勘違いだ。10月のブルベが31日目ということから、ブルベの暦でいえば31日目にあたるまさに今日が、ハロウィンだったのである。今回のライブのコンセプトは『幻想と怪奇』。「『ペルセウスA』というブラックホールに演奏を通 じて交信を試みます。 」ということをミラBBに書いたが、打ち合わせ通りコードネーム:アイスクリームという ミッションを実行。はじめる瞬間にブラックホールの映像を想像したら、真っ赤な世界だけが見えた。そばで指がパチンとなって、写 りの悪い旧式のテレビが現れた。
砂嵐のテレビ画面は、映像が乱れて時折、殺戮の戦争のドキュメント映像と、太陽の光に包まれたメリーゴーランドがまわる遊園地の残像を交互に映し出したら夢の世界に吸い込まれていき、夜中の高速道路を汗びっしょりの黒スーツ姿のパラノイヤな男が車を走らせているテネシー州まで飛んだ。
ライブ前にひともんちゃくあったせいか、全曲リズムが2倍の早さになっていた、とあとで言われて気づく。どうりで手がきついと思ったら無意識に早くなっていたようだ。あれまーごめんなちゃい!でもラモーンズだってそうだしいいでしょ!と強引に納得させた・・。今週の土曜のライブはしっかりやろうとおもう。 夜中にジョディがブルブル震えながら女に電話をかけていたようだが、私達はそのとき青い部屋でライブしていた。その頃、ウィルコ達は青い部屋にイベントの打ち上げにこようとしていたんだという!けど結局リキッドルームでそのまま朝を迎えたんだそうだ。てっきりそっちはもう終わったと思っていたけど、ライブ終わってから車を飛ばして行けばよかったなぁとちょっぴり後悔した。しかし、この日はLOADEDの演奏が凄くかっこよかった!!宇治さんのトリップ映像とサイケな演奏が相乗効果 ですごいサイケデリックな世界を味わった。INTEGRATED3というバンドもめちゃくちゃかっこよかった。ブルベに乾杯!



10月21日 言霊と宇宙のビッグバン


ここ最近のテーマはまさにブラックホールである!
というのも、 私が密かにチェックしている一見難しそうな、しかし実は魅惑のホームペエジがある。
ヒマをもてあましたので、 ある夜、たらたらとみていたら、 ある興味深いニュースを発見したのだーーーーーー!!
そのニュースとは、宇宙のブラックホール、それがBフラットの音を発しているというのだ。
なんと!!なんて胸が高鳴る素敵なニュースなのだ!
その記事によれば、だいたいこんなような内容であった。

X線天文衛星のチャンドラがペルセウス座銀河群の中心部分を53時間にわたって調べたところ、音波のような波状の特徴を持つことが明らかになった。
音は、ピアノ鍵盤の中心にあるCより57オクターブ低いシ♭に相当する。この音の周波数は人間が聞き取れる一番低い音よりも10億倍のさらに100万倍よりも低いため、人間には聞き取ることが出来ない。

そして驚くことに、NASAんとこに、そのブラックホールの音波の「映像」が見れるようになっていた。ブラックホールの映像とはたまがった!気安く見てしまってもいいのだろうか、と思いながらクリック。ドキドキしながら見てみると、思わず息をのんでしまった。・・・カッコイイ!短い映像だけど、そこには神秘的で衝撃的なほどに赤い、赤い・・・赤い世界が!深い闇が赤い宇宙が広がっていた。赤い闇に小さな光がだんだんと燃え上がっていって爆発して眩しい一筋の閃光を放つと、2つの光の塊が新たにうまれた。ビッグバンみたいだ!ビーム光線!中心の光の塊を二つの光の塊が引き寄せあっている。いや! エネルギー同士が激しくぶつかっている!光同士の激しい衝突が目にくっきりと見える。そしたら、それを包んでいる赤い闇にその音波が円をかくように、投げた石の水面 の波紋のようにどんどん広がって伝わってく・・。すべてゆがんでいる世界、ぐにゃぐにゃの美しいラインを描く瞬間の世界を思い浮かべた。・・・(イメージ映像:井の頭公園の池に映った木々や水鳥の影)そしたら!!最後の映像シーンは、し、白い・・。とてもちんけな言葉で言い表せない美しい世界だった。なんて魅惑的な色をしているんだろう。これがブラックホールなのかぁーとため息が出てしまう。何度も何度も繰り返し見た。こんどはお気に入りの音(13th floor~)を流しながら見てみた。もう・・!なんて素敵なんだろう!きゅんとしてしまう、たまんない。

NHKの宇宙特集ではじめて宇宙学者のホーキンス博士を見た。宇宙の映像がかっこいいと思ったのと、ホーキンス博士がしゃべれないのに特殊な装置をつけて言葉を発していて、その姿に同じ人間とは思えないすごさを感じ、次の日、家から一番近い古本屋に「ホーキンス博士の本ありますか」と買いに行ったことは忘れもしない。古本屋には残念ながらなく、その時はおじさんからボロボロの雑誌サイズの火の鳥を勧められて買って帰ったのだが、それはそれでぶっ飛んだ。それからしばらくしてやっとホーキンスの本を手に入れた。古代ギリシアの神話に宇宙がはじめて登場する。そして16世紀にコペルニクスが地動説を唱えて地球が宇宙の中心だと人々は信じ、17世紀になるとガリレオが・・宇宙論には生命の誕生と同じぐらい長〜い歴史が刻まれている。ブラックホールの発見者といえばアインシュタインだけど、ホーキンス博士の発想は斬新なほどシンプルで、話に「暗黒物質」など、そそられる表現もたくさん出てくる。とてもおもしろい。なんだ、想像と同じじゃないか!と思うぐらい、言葉の表現が感覚的である。無から宇宙が生まれたという。ゼロだ。しかしゼロのエネルギーというのは実際はギリギリのところで揺らいでいる状態のことらしい。無と存在のゆらぎだ。無と存在・・・。人間なんて無と存在のゆらぎそのものじゃないかとおもう。しかし外国の方ばかりではない。百年前に宇宙のビッグバンを予言したおそるべき日本人がいる!出口王仁三郎だ。出口といえば「言霊」だ。私は18の頃、出口王仁三郎の存在に衝撃を受け、その甥っ子が現代文の教師をしているというのを知ったら興味津々になり、試しにその吉祥寺の予備校にまでもぐり込んだら南方熊楠などを取り上げていて、これがもう面 白く半年間通ったほどだった。お金は予備校内のジュース自販機にしか払わなかったが、カセット録音しながら講義を受ける真面 目な生徒だった。まぁその話はいいとして、出口がいうには、ア、オ、ウ、エ、イのこの五つが宇宙を形成する強力なエネルギーの源だという。エネルギーが音を放出していたというnasaの発見に繋がるではないか! ブラックホールと言霊・・・。

ブラックホールの音・・どんな音なんだろう。
人間には聞こえないんだそうだけど、もう勝手に感じているからそれでいい。宇宙と繋がってゆく気がしてドキドキしてしまう。
そんなわけで、夜な夜なブラックホールのことばかり考えている今日この頃である。ブラックホールに胸きゅんだ。・・あのブラックホールの美しい映像・・!

あそこに吸い込まれているのはきっと・・・・。


ジャンジャガジャーン!さぁご覧あれ!
<NASAのブラックホール映像>


Attack of The Ghost Riders (The Raveonettes)


10月14日 夜想について

ペヨトル工房から「夜想」が復活した。夜想は思春期の頃、最も衝撃を受けた雑誌の一つだった。そしてまたこっそりと夜中一人で読んだ本だった。ジャンコクトーの少年の姿が表紙になっていたり、特集もヌーベル・ヴァーグやシュルレアリスムやら世紀末と題して、オスカー・ワイルドやバロウズ、悪魔や魔術やマイナーな幻想文学を数多く取り上げていた。私はこの本をきっかけにヴィクトリア王朝や神秘主義、それからヤン・シュヴァンクマイエルをはじめとする、チェコのアーティストやベルメールの活動についても知ったし、夜想以外にも「銀星倶楽部」やディックの本や澁澤さん関係などダークで美しいフェティッシュな奇書を数多く出版するペヨトル工房という他とひと味違う出版社にリスペクトの念を持っていた。アートと音楽と映画・・・それを美しいもの、消えていってはいけないもの、大事な一つの文化として細部まで光を注いでいたように思えたからだ。ペラペラヒマをつぶす「雑誌」ではなく文学や芸術を愛する人のための「書物」だった。記事のクオリティーも高く、惜しげもなく絵画を挿絵として本の半分をもさいていたり、1ページめくるごとにその内容の濃さに衝撃を味わい、すごく暖かみのある手作りの本というのが伝わってくる感じだった。きっとマニア的な愛好者だけが喜ぶような閉ざした世界ではなく、いいものはいいと自信を持って万人に向けているというスタンスが根底にあったようにおもう。内容はとても難しかったので、理解して読む進むのにとても時間がかかった。7号などは今でも読み更けっているし、持っていない号は古本屋などで地道に買い集めていたりする。
2000年にペヨトルがなくなるときいたときは大変ショックであった。好きだった思いを伝えたい衝動にかられ思わず発行人の今野さんにメールを送ってしまったぐらいだ。そしたら、今野さんから直々に返事が届いたので飛び上がって驚いた。「君のような読者を持って、僕は幸せです。自分のやってきたペヨトル工房を誇りに思います。」ということが書いてあって、顔も知らない読者の一人だというのに今野さんのそのやさしさにも胸が打たれ、心が締めつけられる思いだった。私はバックナンバーばかりを買いあさっていたからリアルタイムの読者とはいえない。だけど、当時の私にとっては影響を受けた雑誌ナンバーワンであったに違いないと思う。
しかし、今回そのドキドキ感いっぱいでページをめくって、ちょっと驚いてしまった。ゴシックが旬なものとして捉えられている。なんというか旬の特異な文化をクローズアップするキワモノの雑誌になっていた。バー*トとかそういう感じのワイセツさが漂っている。なんかイメージが違うよぅー!!思わず私の持っているお気に入りの夜想を取り出して見比べてみた。サイズが違うし白黒からカラーになっている。 よく見ると、その夜想の発行した年は1982年だ・・・。今は2003年。21年の歳月が経っている・・・。時代は変わって行くにつれ、内容も構成もそれから人々の文化に対する視点も変化していっておかしくない。だけど、、、どう見てもやっぱり昔の方が明らかに魅惑的な書面 、今ページをめくっても全然色あせてない夜想独特の世界観が広がっているのに対し、なーんか幼稚で気品がないというか、、ストリート化して一部の読者層を対象にした媚び感がある。なんだかレイアウトもちょっと芸術的とは言い難い。うう、なんだかとても切ない気分になった。でも今野さんのやっているペヨトル工房は応援したいという気持ちがあるし、次号もおそらく買うだろう。

問題は本屋側にもあると思う。これはあえて触れないが非常に根の深い問題である。新刊の書籍ばかりが所狭しと並べられ、次々に棚の中は新しいものへと入れ替わってゆく本屋。どの分野でもただ「新しいもの」ということが最も重要とされているこの風潮の中で、「いいもの」といった普遍的な感覚などは排除されていく。出版界まで産業化されていくことに怒りを覚えると同時に、ついにペヨトルもその現代思考の波にのみこまれようとしているのかと思うと、なんとも複雑な気分だ。これはただの風潮というより、日本人の文化に対する考え方の問題 でもあると思う。私も本を出版している側にいて、編集者の一人である。本は、売れなくてはどうしょうもない、ということが前提にあるのはわかっているつもりだ。でもああ・・・。この感覚は、この切ない気持ちはなんだろう。私が置いていかれたのかもしれないなぁー。


10月11日 爆発のためのエロティックな実験

意味深なものを発見したので、ここに転載する。

______________
一日5分、●●●●を乗せるだけ! 台所でできる夢の運動器具が登場。 簡単シェイプアップ! 運動不足にはまず運動、と思っても、なかなか続かないのが悩みの種。 そんなあなたにお薦めしたいのが 新世紀マシン「小さな袋の中っこゆらゆら」です。 秘密は小さな袋の中独自の重力発生装置。 生活で不足しがちな横方向の運動で、 気になるアソコに刺激を与え、わずかな時間で効率よく燃焼します。 手軽に運動でき、使った後は折り畳めば、ベッドの下にラクラク収納。 ゆらゆら●●●●を揺らせば、 さあ、望んでいた快楽はあなたのものです。___________

・・・うーむ。ゆらゆら●●●●を揺らして望んでいた快楽・・って一体なんだろ。
望んでいた快楽といえば、 私はある実験を前からやっているのだが、なかなかこれがうまくいかない。 爆発にコンプがかかってしまうのだ。酔狂な人々は爆発が壁につきあたっているこの感じが好きで、 わざわざどこからかこっそり買い求めたりするようだ。 そうすれば音が乾いたピーナッツ風になって お手軽に快楽感が出るのだが、私は欲張りなので、それよりもっと原始的な方法で爆発を突き抜けたいと思うのだ。
その方法についてあれこれ考えていると、か細い声が下の方から漏れてきた。

わしゃあ乾いたピーナッツを殺してしもた
わしゃあ乾いたピーナッツを殺してしもた

・・・まだ夜になっていなかったが、私は今日の予定を全てなしにすることにきめ、例の扉を叩いた。
陰気な顔をした老人が顔を出した 。
「快楽は?」 「快楽?」 「なけりゃ入れんよ」 老人の後ろで何かを叫ぶ声がしているのが気に掛かる。
不意に「おっとそれだ」 老人が私の胸に手をのばし 薔薇の花を抜いた 。
「快楽だよ、薔薇のひと」 老人は薔薇を軽く振って 身を引いて招き入れた。
扉の裏には色とりどりの薔薇が掛かっていた。中に入ると部屋の隅の方でさっきの叫び声の主が大きく体を揺らしていた。「小さな袋の中でやつに会ったんだ。 ほんの10分前だよ。それからやつを爆発で思い切り罵倒してやったんだ!」さっぱり何のことだかわからない。 「ほんとうなんだよ。そうしたらやつめ、こんなけがらわしい真似をされたのははじめてだって憤慨するから、とどめにこれでも食らえって、テレビごと投げつけてやったんだ。」テレビごと投げつけるなんて気がふれてるのかしら。「嘘だと思ったらやつに聞いてみればいい」 そう息を切らして話している。よく見ると顔見知りだった。なんだか物騒なことに巻き込まれそうなので 私は用事を済ますと、いそいでその部屋から出て外の空気を吸おうとエレベーターに乗った。13階の屋上のボタンを押すと、体がぐったりとしているのに気づいた。
後ろで「快楽」の気配がした。 挨拶するのもおかしいし、と思いながら、 階数が表示されるのを見つめていた。 背中をなでるものがある。 振り返ると下を向いた乾いたピーナッツだった。チラリとこちらを見る。
「それは快楽だね」ニヤリと笑う。
「えっ快楽!どこに快楽が?」平静を装ってそういいながら私は心臓の音が早くなっていく。 乾いたピーナッツは黙ってじっと私を見つめていた。
「あんたは誰にも会ってない。あんたはずっと自分の部屋にいたさ。 それはあんたの快楽が招いた幻覚さ。 出口も入り口もないんだよ、快楽が身体の奥で眠っているから、 ありもしないまぼろしを見るのさ。はじめから知っていたんだろう?」

快楽? 私はそれを確かめるように 身体をまさぐった。oh my...!イッツァ サイケデリッーク



In A Gadda Da Vida(Iron Butterfly)


10月10日 生まれた日のロックンロール!

おとといの話。12時を過ぎたら、双子の片割れに電話した。ハッピィバースディソングを歌い合う。ストーンズのケーキがレコードの上でくるくるまわるアルバムをコーヒーを飲みながら、お腹いっぱい聴いた。そして夜が明けた。誕生日といったって、年に一度必ずやってくるもの。別 に特別な日じゃない。なんでもない日だって、おめでとうだ。でも、やっぱり誕生日はワクワクドキドキしたいもの。気づいたら水曜で気づいたら明日は日曜。そして気づいたら一年が経っている。そんな時の流れを実感し、これからの自分と向き合う特別 な日にしたいものだ。何にも変わらないけど、自分次第で何かを変えることができる日である。つまりは年に一度の自分のために魔法が使える日だ。小さい頃、そうお母さんが教えてくれたっけ。ににんがにん!夜になったらソワソワしてきたので、外へ。なんだか肌寒くなってきた。頭の中でギミーシェルターが流れ出している。ああ!ハっと気づくと地下シェルターの前だった。駆け足で シェルターの階段を下りてドアを開けると、ゴキゲンなロックンロールが聞こえてきた。ハッピー気分へと早変わり!ステージを見ると、ケーキの上に乗った人たちがノリノリで演奏している!うお、ダビデチオがやってる!かっこいい。それから横を見るとネロがいる!ライブ中、ステージ上よりピストルを向けられてドキドキ。心は新鮮な気分で満たされていた。これはちょっと素敵なことかもしれない!彼らからロックンロールなプレゼントをもらった気分だった。
その後、ライブを終えた黒光りのセクシーメンらとUFOについて語り合い、おめでとうの言葉をいただく。嬉しかった。そしてシェルターを後にする。ネロたちとおしゃれなパリジェンヌのお店にゆき熱々のクレープを食べ、大人の気分を味わう。よべりんがレッドルームに行こうというので、それはナイス!と2人で私の家へと帰る。この日は同じくラモーンズのジョニーとC.Jも誕生日なので、ラモーンズとの思い出なども頭に浮かんでガバガバヘイな気分!ラモーンズを聴きながらピザを食べる。今年の抱負などを発表しあい、パリであろうと東京だろうとこうしてまた今年も2人で共にお祝いできる幸せを実感する。そして今日の私達をカメラにおさめ、父と母に生んでくれた感謝をこめて、メールを送った。


  

お祝いの言葉をくれた皆さま、どうもありがとう!

Let it Bleed (The Rolling Stones)


10月4日 深層心理

さっき、たまにはゆっくり寝ようと久しぶりに早寝をしたら、変にこわい夢を見て起きてしまった。といっても、ただの淡々とした夢だったので、何がこわかったのか覚えていない。夢の中でフレディみたいのに襲われた覚えもない。けど、何かがいや〜な不吉な感じが漂っていた。むりやり逃げ切ったというかんじであースッキリ〜。
数日前に見た夢は猫のサバが靴箱の上でニャーと鳴いていてなぜか隣にでっかいキリンが長い首を体に押しつけてじゃれてきて、とてもくすぐったいほんわかした夢だった。 印象的で気になったので、夢占いというので調べてみたら、 「キリンの夢は、あなたは願望が叶うのを今か今かと待ち望んでいるがまだ時間がかかることを意味しています。」 「猫が出てくる夢は、そばに敵がいる事の知らせです。」ということだった。うーむ。想像と正反対!
けどやっぱりいい夢はいい夢である!夢は深層心理より、見た人の感触や後味の方が心理的に重要であるような気がする。

昨日見た夢は下北から電車に乗ってロンドンに行く夢だった。
夢の中で、突然ロンドンに行きたいと思い立ったのであった。
ロンドンに着いたら寒かった。目の前がポートベローであった。買い物はゆっくりあとでしよう・・。そう思いまた駅の中へ。2駅先を見るとパリの北駅の表示が出ている。
これはラッキーだとばかりに、せっかくだしパリまで行くことにした。
10分ほどでパリの北駅に到着した。で降りたら、ある人物に出会って、そのまま巴里の市内の街を歩きまくる。歩いてる途中にひらめいた。列車でそこからアムスに行こうではないか!
と思ってGare du Nord駅をひたすら目指している夢だった。なんでそんなに急いで各地を渡っていたかといったら、3日で日本に帰らなくてはいけなかったからだ。とても忙しかった。
夢から覚めた後、うっすらと海外に行きたい気分が消えていった。1週間休みをとって、むりやり行ったところで、あれもしたいこれもしたいで、結局中途半端になってしまうのだろう。
やっぱり旅にはゆとりが大事だ!私は上の3カ国しか行ったことがない。でもどれもわりとゆったりした時を過ごしたため、かなり充実した旅の思い出となっている。
あーー最近すっごく海外に行きたくてたまらなく、格安航空券などを見たりしつつ、勢いでどっか行こうかと計画を練っていたりしたのだが、長い旅は現実は難しい。やはりリフレッシュのヒマもない疲れるだけの短い旅は今はごめんだな。
もっとゆったりした旅でも夢の中でしたいものだな・・・。

DAY TRIPPER (YMO)


9月20日 深夜の交信

ある深夜のことだ。私はいつもの練習スタジオ・アンディに行き、延長時間をおまけしてもらい(いつもありがとう。もりたん)スタジオの外に出て、ザーザー降りの雨を見ながらチャリにまたがったその瞬間、突然眩しい閃光が私に降りかかった。ぎょっとして見ると、一人の白いあごヒゲを生やしたおじいさんがカメラを片手に目の前に立っていた。初対面 でいきなりカメラを向けられる経験などないので、「何なのー!」と言い放って、そのまますぐに立ち去ろうとした。と同時にカメラの奥の赤ら顔を見つけ、ただの酔っ払いだと瞬時に悟った。カメラをまだ向けてくる彼にキツいにらみを一発利かせながら、チャリに置いた手をふりほどこうとした。
すると、その白ヒゲ男は「いいじゃない、いいじゃない」と言ってチャリの行く手を立ち塞ぐではないか。
強引な酔っぱらいおじさんとじっと目を合わせてみた。すると、なかなかどうしてまた初めて会った気がしない。知り合いの知り合いなのかもしれない。不思議だ。そう思いながら、白いヒゲの先を下へ下へとたどっていくと、服の襟までヒゲが続いていた。真っ白な髭。初めて見る立派な長いひげだ!密かに感心していると、おじさんは私にまるで昔からの友達かのような口調で「今日は雨がひどいねえ。こんな日に自転車でドラムを背負って帰るの?大変だよそれは・・、で、君ドラマーなの?」と聞いてきた。
「そうですけど」「へぇ。いやぁ、どんなバンドなのかなぁー?」すかさずそう聞いてきたので、返答に困っていると、後ろから遅れて出てきたネロが「ホラーパンク!」そう一言だけ答えて、そのまま背を向けてバイバイをして『関係ないもん』といったふうに去っていった・・・。
一人残された私はネロの発言に責任を持つべくして、「はい。ホラーパンクです。」そう答え、 これで会話もジエンドだと思い、そのままチャリにまたがろうとしたら、「えっ?ホラー?」びっくりしたようにそう聞き返してきたので、『?!』。
見るからに小難しそうな音楽を聞いていそうな風貌なだけに、「ホラー」の3文字を強めて言う彼が、何か引っかかっているのか、私としても大変興味深い展開である。もしやホラーマニアか?! まぁ雨もひどいし急ぎの用事もあるわけでもない、たばこ一服ぐらいだったら話をしてみたいかもと思いなおし、白ヒゲさんに興味が湧いてきた。
しばらく宙を見つめた白ヒゲさんは「・・あぁクランプス・・・昔見たなぁ。あの夫婦は最高だよなぁ」と言うから、まさかのまさかにドッキリである。「え!クランプスを知ってるんですか?私もすごい好きだけど」そう言うと、「いいねえ。たまらないねえ」という嬉しい言葉が!もう私はこの人なら安全だ、と瞬時に身の危険を解除し、静かに自転車から下りた。気づくと、名も知らないおじさんと30分近く話が盛り上がり、ホラーに始まり最後はデビッドリンチの世界までも意気投合し、あげくはメールアドレスを交換して別 れたのだった。なんでも細野晴臣さんのトロピカルダンディーのジャケのイラストでおなじみの70年代から活躍している絵描きさんだという。下北から移り住んで現在は山中湖に在住だそうだ。

それから数日後、そのおじさんからメールが届いた。 名前はヤギヤスオさんという。それから私達の交信が始まった。ヤギさんのメールは電話メールである。私は若者がよく使う「電話メール」というのに普段全く縁がない。電話のキーでメールを打とうとしてもうまく打てない。第一、文字数が制限されるみたいだし、長文派の私は、文章が途中で切れてしまうときほど、むなしいときはない。たいした内容でもないというのに切れた所からまた送り直すのも、こっぱずかしいではないか。若者が街角で電話をなにやらポチポチやってるのを見るにつけ、ケッ!だっせー、と思っていた。
しかし、その辺をヤギさんはしっかり心得ている。切れるのを防いでいるのか、長文を3回ぐらいに渡って一気に送ってくるのだ。 文字数感覚まで相当慣れているようだ。ただものではない。
メールの内容も相当ぶっとんでいるものである。「森って天使とか妖精がやっぱりいそうです。僕は仙人目指し てるんだけど、なかなか…。修行が足りないですねェ。というか…」一発目のこのメールの出だしに私はかなり感銘を受けてしまった。人生の大先輩ともいえる60過ぎのおじさんの 何と後をひく文面か!とてもいい!グッド!
ヤギさんと交信するたびに、時にヤギさんの頭の中が変態すぎて恐ろしくなってしまうときもあるが、リアルに投げかけてくるヤギさんの言葉は時に残酷な、そして日常の暖かみがあり、幻想的な夢の断片のようなのだ。私は想像の世界に身をゆだねる。とても刺激的だ。まるでリンチの世界のような人だ。 メールで話すのは、霊界のこと、夢の話、リンクレイについて、デビッドリンチの話、妖怪の話と実に濃い。いつも心が癒されるメル友である。

それからそして、物々交換。フランクザッパのクレイアニメを送ってもらったり、デビッドリンチの字幕なしの秘蔵映像やらヤギさんのアートワークの写 真集やら本やら何度も送っていただいている。またダークサイドミラーズの音源を12コのスピーカーがある部屋で爆音で楽しんでくれたらしい・・。この上なくとても光栄なことだ。ビックリしたことに、ヤギさんとは2度目に会ったのだということがしばらくたって発覚した。去年の暮れの東京ロッカーズのビデオ上映会に行った時、一人ヤバイおじさんがいて、会場をメチャクチャに荒らしまくっていた。その会場の雰囲気がお通 夜みたいでちとクソだったので、そのおじさんが一番パンクだった、とその日のミラーズbbsにも綴っていたぐらい、強烈なインパクトを残した「その人」であったのだ。 あまりに強烈すぎて記憶から一時失われていたのだが、よく考えて思い出したら、ヤギヤスオという名の人だった!あのときは、完全にイカレているから近寄らないようにしようとさえ思ったのに、気づくとヤギさんと文通 している自分がいる。

人の縁とは本当に不思議だ。いつの間にか、つながってゆくのだな。最近それを実感する。・・ということは、ブルーベルベットナイトの首謀者:鳥井賀句氏とも知り合いであるはずだ。こんど、我らがブルベにぜひご招待しようと思う。



Voodoo Idol (CRAMPS)


8月8日 隠れた悲鳴

 


ぎゃああああ!!


5月24日 神秘と恐怖

瀕死の太陽、大空の果てに沈むを、
やさしき夜の歩み寄る足音に、ききいれよ、いとしの我が「苦悩」よ!

カー!深夜になってしまった。ベランダから下弦の月をそっと覗くと、ああ夜の匂い。「ドーンドーンドンガラガッタ〜」を口ずさみながらも、私の心はずっとそわそわしていた。しかし、じっと待つことにした。待つのはもう慣れっ子である!
コーヒーを飲もうとイスから立ち上がったら、いきなりドアがガチャっと開いてビックリ!!真夜中の訪問者は突然やってきた。
LUCYと尚作がバっとイェーイ!と笑って扉の向こうから躍り出た。思わず言葉を失う。
それから、イ、イ・・・イエ!! である。ついに私たちはずっと夢見ていたこの日の再会を果 たした。

無言のまま熱い抱擁を替わりばんこにかわした後、さっそく3人がそろった暁に、まずはMr.AOKI氏が入魂で撮影してくれた先月のブルーベルベットナイトのビデオを見ることにした。 LUCY 、JUNK、 SHOの(名づけてルーシージャンクショー!)の映像。「鏡の国へようこそ、ダークサイドミラーズです」LUCYがそう言ってJACK THE RIPPERが始まった。そして事件は次の瞬間であった。こりゃたまがった。「死神ジョーが来なかったので、今日は3人です」と恥ずかしそうに笑ってしゃべるLUCYの左側に、そこには来なかったはずの死神ジョーが映っていたのだ!私達は死神ジョーと演奏していたことをリアルに目の辺りにして、ゾクッっと鳥肌が立った。そして一瞬だけ最後に収められていた悪夢のショータイムの映像。それらは、逃げても逃げてもつきまとう満月の夜に起きた全て本当の出来事だったのだ。まぁ今更わかっちゃいたけれど。
あの日を境に時計の針は止まっていた。それが一人一人の脳裏から離れてすべてが共通 のヴィジョンとなる瞬間だった。
それからこの失われた時間を抜けて、またここで再会することができた喜びを実感した。それにしても、その代償は大きかった・・・。そして、わかったことは、得たものがはるかにそれより大きなものだということ。
私達3人が出会ってから数年後にバンドを結成し、今日までそれぞれが心の奥で感じていた誰にもうち明けることがなかった秘密があった。今まで言葉にするのもバカらしく、うんざりだとさえ思っていたこと。それをはじめて言葉にした。
鏡の国にスキップしながら入り込んだものの、どっちが自分かわからくなった悪夢。巨大な迷路から出れなくなってしまったこと。死神ジョーを心から待ちわびていたこと。ちょっとした遊び心から悪夢を現実に誘い込んだこと。LUCYは森の奥に隠れて夢の世界にだけ存在して永遠だけをいつも願っていた。尚作は時折、死のイメージをうわごとのように口走りながら、一つの野望を抱いていた。彼がいつも追い求めていたのは、本当の意味での自由と解放された心だ。臆病な私は大事なものを失うことばかり怖れていつも妄想の世界で自分の理想を作り上げようとしていた。そして闇のカーニバルに手を叩いて喜び、快楽に溺れ、悪魔のような女だということを誰かにうち明けることでひどい苦痛から逃れられると信じていた。
今思うと、尚作はなるべくして象牙の塔に導かれた。そう思うな。そしてあたしは彼を送り出したのだ。
彼の口から次々と語られる象牙の塔での出来事は、とても好奇な小説のような話だった。
たとえばそれは、彼の身におきた話だった。ある夜、しょうさくは象牙の塔のてっぺんから飛び降りたんだと言う。「・・それって死んだの?」そう聞くと「いいや、転生したんだよ。皇帝ネロにね」そう真剣な目で言った。覚醒し新たに転生したしょうさくの目はギラギラしていて前より魅力的な目をしていた。それからまた、 寝ている間に悪魔に乗り移られるんではないかという恐怖を感じてじっと耐えていたと話すLUCY。うぅルーシーよ!あたしゃもっといい姉ちゃんになるよォー!と誓ったのであった。
しかし、面白いことに、この1カ月間、私たちはそれぞれが悪魔というものを見たり感じたりしていたのだった。すべてまやかしでもない、好奇心からくるイメージでもない悪魔の像が。それは・・・・。

私達3人のダークサイド・ストーリーを合体させていくと、三部作の超大作になってゆき、気がつけば朝になった。しかし、まだ話したりない気分。きっといくら話しても話したりないだろうし、満足することもないだろう。それにここでたくさん記号やキーワードを書き連ねたところで、まともな文章にすることは難しい。ハッキリとクリアーになった頭の中は、すでに新しい妄想とイメージがとめどもなくあふれ出ている。しかし、これからは秘密主義でいこう。なぜならこれじゃあただの思い出波止場だからだ。忘れるところだったが、狂いそうになった限界からこの日記を書き始めたのだった。(今日で日記は終わりにしようと思う)
「そうだ、早くスタジオ入ろうよ!」ルーシーがナイスな提案をした。鉄は熱いうちに打て、だ。レコーディングをするといってはだらだらしていたが、新たな目的がさだまった以上、あとは実行に移すだけだ! 曲作り!!そうだ、これからは未来に向かって歩いていこうと思う。

 

すべての終わりはすべてのはじまり。


WELCOME TO DARKSIDE MIRRORS WORLD (DARK SIDE MIRRORS)

PS.また書くかもしんないけど。


5月23日 ボードレールの悪の華

取り返しのつかないもの

悔恨の息の根は、止めてやれないものかしら?

年月長く僕らに住みついて、息づき、動き、のたうちまわり、

蛆が肢体を、松毛虫が松を、荒らすとそっくりに、

僕らをくらって肥え太る

しぶとい彼奴「悔恨」の息の根は、止めてやれないものかしら?

どんな媚薬に葡萄酒に、それともどんな煎薬に、

溺れさせたらよいものか、この宿敵は、

蟻に似て忍耐強く、娼婦のように執拗く

僕らを破壊し食い荒らす?

どんな媚薬に? 葡萄酒に? それともどんな煎薬に?

何時までもただ待つばかり、空しくも、光と黄金と薄紗の「人物」が来るか、来るかと!


深 淵

なるほどそうだ!僕らの一切は深淵だ、・・・行為も意欲も、夢想も、言葉も!
これを思うといつものことだが、よだつ身の毛を「恐怖」の風に吹かれる思いだ。
僕の夜な夜なの暗黒な背景の上に、神はその巧妙な指で、切れ目のない様々な悪夢を描いては見せてくれる。

なんという不気味さでいっぱいな、どこへ続いているとも知れない大きな穴を、人が怖れるような気持ちで、僕は睡眠を怖れる。僕にはまた、どの窓からも、見えるのは、無限ばかりだ。

そして僕の精神というやつは、絶えず目眩に憑かれていて、あの虚無が持っているような不感無覚を羨望している。

ああ!ついに「数」と「存在」とからのがれない運命だとは!

 

ボンボヤージュ(戸川昌子)

 


5月22日 ある物好き男の夢

左足がシビレて変な方向に曲がっていくので、あまりの痛みに目が覚めた。


ゾンビ畑のショッピングモールの真っ白な大理石の床を黒いクライスラーが乗り上げてきた。ブルースブラザーズのカーチェイスさながらに、ショーウィンドウのガラスが音を立てて崩れ去る中、思い切り突き破って奴らは飛び込んできた。中には老婆と若い娘とよれたシャツの男が乗っていた。男は車から降りるなり、笑顔を向けて手を振った。私は男の顔をちらりと見て、すぐに目を伏せた。女はラッパを鳴らす。老婆は砂時計を握りしめている。私の苦痛はいよいよ非道くなっていく。我は仮死状態から生き返り、今、自由なのである。ワハハハハハ!男の声は高い天井の一番上のギンキラな天井照明をも震わした。さらに耳慣れた声の調子で男は叫ぶ、「さぁ一緒に出かけよう!この大海原へ、恥も怖れも消し去って、さぁほら!!ライドオン!」
かつては快楽という名の旅であったかもしれないことを思った。だったらせめて、私は黒い馬にまたがって海を走りたい気分なのだ。たとえ、筋肉痛に襲われようと!または、ラモーンズをガンガンに流してくれるなら、深夜の高速道路のドライブへ喜んでついていくだろう。

夢は夢である。

冷酷な真実は真っ正面から追突事故を起こした。不機嫌な顔の制服男達は平然と吸いかけのタバコを男の手に押しつける。赤いライトが眩しく光って取り囲む光景がまだ目の中に反射しているので、イェーイ!などと浮かれる気持ちにはなれない。クソー!
心はすっかり眠りたい気持ちでいっぱい、寂しさでいっぱいだ。そして、、私は拳を・・・、真っ暗な空に向かって振り上げて叫んだ。

ばかやろうーーーーーーー!

さて、と。気を取り直して顔でも洗おう。

恥知らずで騒々しい「人生」という奴は、陰気な照明の下を、走ったり、踊ったり、理由もないのにもがいたりしている。
・・・・そんな詩人の言葉が夢の続きを道案内してくれるだろう。不吉な手鏡はもう捨てよう。

明日はいい日であることを願ってまた眠ろう・・・。今度はいっちょハイテンションな夢がいいね!!
ゴーストワールドのテーマがいいな、Jaan Pehechaan Ho!とヤケクソで踊りたい気分で。

Beginning to See the Light (Velvet Underground )


5月18日

今日は近くの大きな公園に行き、バトミントンをした。乗馬をした翌日、普段使わない筋肉をつかったせいか激しい筋肉痛に襲われたのがきっかけで、目指せ健康的生活というのが最近のテーマである。しかし外に出て公園に着いた頃には既にもう夜であった。残念なことに、バトミントンの羽がどこに飛んできてるのかが辺りが暗すぎて全く見えないのである。暗闇でバトミントンというのはかなり無理があったが、突然、視界にふっと現れる羽に向かってラケットを振るのは、これがまたなかなかいい運動になり、とても爽やかな気分になった。そぞろ寒かったが、汗もかいた。この試みはなかなかよいと思ったので、今度はちゃんと昼間に出直したい。
伊豆以来、きちんと3食ご飯を食べ、夜になったら眠り、太陽が出た朝に目覚めるという普通 の健康的な生活を実践してみようと思っているのだ。しかし、この試みもあっさりと2日で元に戻ってしまった。夜になると、どうしても目が冴えてしまうのだ。体が夜型になっているので仕方ない。そのまま、下北の最近よく名前を聞くバーに行き、ウイスキーを一杯飲んで家に帰った。普段お酒はほとんど飲まないのだが、今日はなんだかそんな気分だったのだ。バーのカウンターに座ると、中学の合唱コンクールの課題曲だった『冬が来る前に』が流れはじめたので「・・うっ」となる。ここは田舎によくありそうな、さびれた昭和の雰囲気を演出したバーであった。しかしながら、中の客はほとんど今時風の若者ばかり。いかにも奥の方にいそうな飲んだくれの常連なおっさんなんかも一人も見あたらなかった。なんだか変な感覚だった。なんか昔のものを「コジャレタ感覚」として捉えていることに多少の違和感を感じた。たぶんここは、、。3曲ほど和製の昔の歌謡曲を聴いていると、酔いがまわったのか?案の定、吐き気が襲ってきたので店を出た。家に帰ってコーヒーを飲みながら何気なくテレビをつけると、NHKでジャズの特集があっていた。ほろ酔いで聞くジャズがこれまた最高だ。ジョンコルトレーンは、ジャズ界のアバンギャルドの守護神として今なお崇められている。これまでのコード主導のジャズが定番だった時代に、メロディ主導の即興音楽を切り開き、古典的なジャズの演奏スタイルを自由な発想に変えるという、ジャズの歴史を変えた人物だという。マイルスデイビスのバンドに加入したがドラッグによりバンドをクビにされる。その後、破滅の道をたどりつつも、常に精神的、前衛的な音楽をひたすら追究していき素晴らしい音楽、情熱的で美しく叙情的な曲を数多く世に残した。1966年に10年後の目標は何かとたずねられると、「私は聖者になりたい」と答えたそうだが、その1年後に40歳の若さでガンで亡くなってしまったんだという。そんなエピソードが印象的だった。太く短く凄まじいハードな人生を送った彼の生き様、貫いた信念に感銘を受ける。60年代に入ると、アメリカは暴力の時代となり、ビートルズの出現により、ジャズという音楽は古くさいものとしてジャズクラブはどんどん寂れていき端に追いやられ、たくさんのジャズミュージシャンが消えていったという当時の時代背景なんかもはじめて知った。宮谷一彦の『ジャンピンジャックフラッシュ』を読んだ時の衝撃が蘇る。ロックとジャズ、ハードボイルド・・・夢と退廃と苦悩の時代。アートブレーキーやハービーハンコックやチャーリーパーカやたくさんのジャズミュージシャンのBBCのライブの映像だったり、小さなクラブでの演奏シーンに目を奪われる。テレビが終わったら、どっぷりとジャズが聴きたくなったので、ジョンコルトレーンの至上の愛を見つけようとしたら、棚の奥深くにしまいこんであったチコハミルトンが先に見つかった。レコードに針を落とすと、幻想的な世界・・!
ふと、伊豆のジャッカルのことが頭に浮かぶ。退廃的なムードが漂うジャッカルで、ジャズの演奏を生で聴いたら最高だろうな〜。あそこはきちがいサックスなんかが似合うだろうな。あのお店も昔はたくさんの人であふれかえっていたんだろうなー。などとイロイロ想像してしまった。そろそろ朝日が昇りそうだ。


無音の中で考えることと言えば、2つのニュースである。一つは、ついに日本にSARSが上陸してしまったということだ。恐ろしい・・・。 二つ目は我らが暴君、いや革命家が悪魔か天使になって帰ってくる、ということである。楽しみ・・!


5月14日 伊豆にいってきた!

  

行き先はなんとなく伊豆に決まった!

 

山道で、ヒッチコックの映画に出てきそうな廃墟を発見!あやしくていい感じ!ゴーカートが2台乗り捨てられていた。カッコイイ!
伊豆の奥地はこういうさびれた廃墟が多くて、撮影とかするのにもってこいだ!夜はもっと雰囲気ありそう〜。

 

さっそく念願の初の電動ろくろで陶芸!これがけっこう難しい!かなりの集中力と精神力がいることがわかった。それからグルグルまわる土をみていると、目だけじゃなくて頭の中までぐるぐるぐるぐる〜〜。土は気持ちいいー!ここは、ずっとブルースが流れていて、みんな黙々とろくろに向かう。教えてくれた先生はかなりのブルース・フリークだったのには驚きであった!ロバートジョンソンの話で意気投合し、みんなで陶芸の魅力とデルタブルースとパンクについて熱く語り合う。その心は、すべてつながっている、のだ!

    

海が見える露天風呂がある宿にお泊まり!目の前の海で釣ってきたばかりの新鮮な伊勢えびやイカのお刺身が夕飯に並ぶ。超豪華!ただ緑のカンテンとか味がなんだかよくわかんないのもたくさんあった。皿数がものすごいので見ただけで満腹に。。
宿屋のおばちゃんは、やたらと泊まり客の関係を詮索するのが趣味のようで、不倫の現場は部屋に入った瞬間にわかるなどと長年つちかった勘で男女の関係をかぎ分けられるという自慢話を鼻息荒く得意げに語ってくれた。聞いてもないのにおばちゃんが目撃した過去の不倫のエピソードを次々と語り出し、止まらないのである。私たちはその勢いに圧倒され、おばちゃんのその千里眼に敬服した。が、帰る間際になって功君に「バーの経営なんかやってる方なんでしょ。いいわねぇ〜!お気に入りの娘さん達と慰安旅行なんて」とにやっとしながら肩を叩いて見送られた・・。結局、今までの話は全部おばちゃんの勝手な妄想の世界なのだとわかる瞬間でもあった・・。おばちゃん、楽しい時間をありがとう・・!

   

遊覧船で洞窟探検!というのに行った。小船に乗って海を渡り、ヒンヤリとした洞窟の中に船がどんどん進んでいきます。それは素晴らしく美しい世界でした。うちらが興奮してワイワイ盛り上がっていたら、隣にいたカップルはロマンチックなムードに浸りたかったらしく、ムードをぶち壊されたと、いきなりカップルの男が言いがかりのケンカをふっかけてきた。よく見るとうちら以外、船上はほぼカップルだらけなのだった。さすがは恋人岬の西伊豆である。二人っきりになりたいなら、林の中にでも行けばいいじゃんか〜!と嫌がらせしてしまいましたが、いつかダーリンと2人で来たいと思う私です。

 

 

伊豆を満喫!のポーズ

 

みんなでジャンプ!の図

 

  

 

さて、やってきました。爽やかな草原!ここは南伊豆の下田牧場です!
今回のメインイベント「海で乗馬」のコーナーです。
牧場にて乗馬のレッスンを30分受けたら、その後、馬と共に待ちに待った海へと繰り出したのです。
はじめての馬の背中、その高さになんという景色なんだろうと感激〜!でも落馬しないかヒヤヒヤでもあった。

   

牧場から10分ぐらい離れた伊豆の最南端にある弓ヶ浜という海岸に馬と一緒に移動!
ほとんど人気もいない美しい海辺で馬を走らせていると気分爽快!!
馬が波打ち際に入っていく。感動だ、それはもう・・・ もう気分は「暴れん坊将軍」!!

   

小旅行をして身も心も癒された。温泉もつかってお肌もつるつる!思いつきで行き先を決めて行ったわりには、かなりの充実の旅となり、またはじめての豪遊の旅となった。何事も行動力が決め手なのだなぁと実感した。 すっかりリフレッシュしたので、やっといつものかんじを取り戻した!!

あーやっぱり自然はいいなぁ!!

  

そして、家路へ・・・。

   

      

 

夜の高速道路はいつも刺激的で、ほっとする。なんでもない景色だけど、素敵だと思う。ロストハイウェイだからかな?それとも都会に住んでるからなのかな。どっちでもいいけど、素敵だ。車のスピードが上がれば、そのまま闇の中に溶けていくような感覚に身をまかせられる。車の走る音と吹きつける風、暗闇に光るライト、何か見えない気配・・・。



さらば、伊豆半島!



I'm Deranged  (DAVID BOWIE)


5月9日 悪魔のトランク

あのショッキングな出来事があってから、あの日を境に色々なことが見えないところでもたくさん変化したようだ。変化したのは私の気持ちの問題なのだと思っていたけど、カマトトじゃあるまいし、ボケ老人でもあるまいし、現実逃避なんかやってる場合ではないことに今更ながら痛感していた。
よくわからないけど、あれから何かが変なんだ。時間の感覚もなんだか狂っている。一日の流れってこんなだったっけ・・。

きのうの夜、風が気持ちいいので家の前に出てみると、目の前に飛び込んできたのは真っ黒の四角い物体。大きなトランクが捨ててあった。
トランクは2,3日の小旅行に適した中ぐらいサイズで、革製で赤いステッチがしてある。ちょっとクールな黒光りしたかっこいいトランクだった。デザインはださくない。大きさもちょうどよい。収納家具としても充分いける!前の私ならば、すぐに近寄って、リサイクルの鑑定をするべく余裕で中を開けたかも知れない。それにしても、なんだかとても目を引くトランクだ。あたりをそっと見回すと、誰もいない。電信柱の影にハサミを持った男がいるのではないか、と思ってみたが、やはりそれは漫画の世界だ。もしかして、これってドッキリ?完全にそれはテレビの世界だ。

・・・この中に、何が入ってるのか?

私は無性に気になった。トランクの中が。誰か開けてくれとばかりに目の前にどーんと置いてある。しかし手をつけるのはちょっと抵抗があった。しかし気になる。足でおそるおそる蹴ってみると、ゴロンと鈍い音がしてドスンとトランクが横倒しになった。頑丈な鉄の留め金が外れるのではないかと、一瞬ドキリ、鳥肌が立った。頭でもわもわと想像するのはコワイシロモノばかり・・。革がいい感じに味を出していて、まだ全然使えるというのに、まるで忘れ物のようにポンと目の前に置かれている。しかも、、捨ててある。さらに!中に重いものが詰まっている。
これはひょっとして開けた途端、爆発してしまうのではないか?最近の事件が頭によぎる。じっと黒いトランクを眺めていると、もっと重い何か秘密がこの中に隠されている(ように思った)。いいや、悪夢がぎっしりとつまっている(ように思った)。絶対に開けてはだめだろう。どこの誰かが捨てたかもわからないものだし、封印はたやすくといてはいけない。何事もなかったように家に入った。 今日の朝、トランクは消えていた。

真夜中のトランク、封印、現実・・・。さっきからループしている。

あの封印を解きたくなった。
ほっとするだろうか・・・もういいだろう。忘れようにも忘れられない。忘れてはいけない。
悪魔のトランクがきっかけを作ってくれた。これを期に封印を解いたら。
様々な問題がどばっと一気に押し寄せてきた。
何だこりゃあ〜!楽になるどころか、全く逆ではないか。

突然、雨が降ると人間の正体がわかる

この詩を書いた阿久 悠さんは、どんなことを思って書いたのだろう。今、そんなことをふと思った。うんざりするほど重くのしかかる言葉だ。人間の正体か。突然の雨。ついつい現実と重ねてしまう。
何が真実か嘘か、ごまかしとまやかしとパラノイヤ集団と自閉症患者と暇人が象牙の塔に焦点をを当てながら、色んな思いが、欲望が、全部がごちゃまぜになっている。穴を探しているのか、穴を埋めているのか?見えないトンネルをあてもなく暴走しているのか。立ち止まっているのか。・・・大事なものを見失いそうでこわい。
混乱が混乱を説き伏せている。 我が我がと完全に我を忘れて強奪合戦。欲に目がくらむなんてダサイぜ、奥さん。そりゃないぜ、旦那。 アタフタしてんじゃねえよ!オカマ野郎。あーやっぱりまだスカっと感が足りないよ!!そうだ、悪魔のトランクだ。
・・・とすれば、旅がいい。思い立ったが吉日だ!
そうと決まれば、旅は道連れだ。さっそくルーシーや功君らにこの思いつきに乗らないかと持ちかけたら、 「馬に乗りたい」とルーシーが言う。
馬・・・!馬に乗って海辺を走るルーシーが浮かんだ。いい!
あたしもついでに乗ってみたい!これはなかなかいいかもしれない!
乗馬ができて、海があって・・?方角はなんとなく南だ!
・・さてと、行き先は今夜中に決めるとしよう・・。
・・まぁ車に乗ってから、考えよう・・。

というわけで、明日からしばらく東京を離れることにした。
また来週!

 


5月4日 ショックトリートメントされた

本日、2度目のふて寝、いや、嫌寝から目覚めた。一週間分の睡眠を一気に取ったようだ。犬に荒らされた、いや違った、そんなようなとっちらかった部屋を片付けながら、頭がガンガンする。めまい?パソコンの電源を久々に入れてみた。メールを受信したら176通 もメールが来ていた。どひゃー!
ちょっとわくわくしながら中を開けると90パーセントが迷惑メールというやつじゃないか。・・・やっぱりな。加入しているロッキーエリクソンのメーリングリストも相当たまっていた。こういうものはたまればたまるほど読む気がしないものだなあ。しかも英語の文など読解する気力も起きない。一通 だけ封を切ると、誰だか知りようもない外人がくだらん能書きをたれているように感じられ、でっかいハンバーガーを一口でほおばるピタピタなTシャツを着たファットなアメリカ人を想像してゲンナリした。いや、けっしてその人が悪いのではない。しかもマニアックなネタを提供してくれる心優しい人なのだし、、、。う〜ん。それから友人からおもしろメール。なんだか最近涙もろくなってるみたいだ。
ああ。これは脱力感というものだろうか。ギムギムと電気ショックを受けて、骨抜きにされたまま日々余韻で過ごしてる感じ。体に力が入らない。
外は気持ちがいい晴天がつづいてる。一歩外に出ると、辺り一面ゴールデンウィーク一色。ニコニコした顔だらけだ。しかし気分がどんよりしている。このギャップにあぁ・・・・。GOOD TIMES BAD TIMESとブルースマンは人生を歌にした。その通りだろう。悪いときがあるから、いいときハッピーなんだ。イェス!落ちるだけ落ちたらあとは上がるしかない。それも自分の経験上わかっている。なんだか気分が悪いまま時がゆっくりと平和に流れている。煮立ったコーヒーみたいだ。乗りきれない。意味不明の夢を見終わったあとの感覚に近いけど、それよりももっとだ。こんなに一日が長いと感じたのは子供の頃の夏休み以来だ。一日で本を3冊読み終えてしまった。本のセレクトがまずかったのか、私の気分のせいなのか、読みたかった本だったのに刺激も影響もゼロである。映画も新作を2本みたが、たいした感想も浮かばない。 もともとハリウッド映画なんてクソで嫌いなんだった。
日記なんて書く内容もないのだけど・・
現実にも嫌気がさしている。頭の中の妄想にだってうんざりしている。どっちもピーピーギャーギャーとうるさい壊れたテレビのノイズみたいに私には無関係に思える。ワンちゃんに白か黒か?こればっかり。赤だ、と言うのもうんざりこいた。もうどっちだっていい。見せもの小屋に飽きたら同情もありがたくちょうだいします。けど、たばこも大好きなコーヒーもまずいからむかつく。なんだろう、このもやもやした感じは。もしかして気が立っているのだろうか?誰に対して?自分に? 欲求不満のメス猫じゃあるまいし、なんなんだ!!ふとレコード棚を見ると、イギーポップがじっとこっちをにらんでいる。NO FUN!文句あるか?!こっちは立ち上がるのだってトイレに行くのだってめんどくさいんだ。引きこもりだ、バカヤロウ!しかし、ああそういうことか。試しにストゥージズのアルバムを聞いたら、驚くほど気分がスカっとした。そうだ、忘れていたが、このスカっとした感覚だ!今の私は猛烈にこのスカっとした感覚に飢えているようだ。コーラを一気のみする。・・ちょびっとスカっとした。ゲップのおまけがついてきた。ラモーンズを爆音できく。ああ!これは大いにスカっとするじゃないか。体の中が浄化されていく感じ。

お父さんがいいものを見せよう!と言って、ラモーンズの1974年のギグのビデオを見せてくれた。 ファーストアルバムが出たのが1976年だから、その2年前というと、かなりレアなものらしい。ジョニーとディーディーの立ち位 置が逆だ!トミーがドラムを叩いていて、曲の間に、「ヘイ、カモン!」とメンバーに向かってスティックを突きだしてがんがん煽っていたりしてかなりかっこいい。いきっぱなしのリズムが刻まれる中、ディーディーも一番若い小僧っぷりでメチャクチャになってベースを弾いている。おお〜〜!なんてイカしているんだ!ジョーイは棒立ちでまだあどけない歌い方してる。しかし歌い始めのマイクを握る瞬間がヤバイほどかっこいい。ジョニーも両足をギリギリに開いて頭を揺らす格好ではなく、体全体をたてに揺らして激しくギターをかき鳴らしていた。1,2,3,4の裏返った叫び声が響く。彼らのスタイルもサウンドもスピリットも25年以上も一貫していることをこの目に焼き付ける。素晴らしい。何より彼らのライブはパンクと一言でかたづけられない。汗かくサワヤカスポーツみたいなクソパンクとはわけが違う。熱いロックのスピリットが、暴走するオンボロトラックの排気ガスのごとく、ムンムン・わんわん充満していく。うだつのあがらないやつは死んでしまえとばかりにバットで頭を後ろから殴られてる感覚・・。バコッ!!ああ、殴られてようやく目が覚めた・・。



60年代のガレージバンドたちの、退屈な現実に抑圧されてはき出したかのような狂気のサウンドが私を現実に戻してくれる。MC5にLOVEにSEEDにred crayolaにデヴィアンツに、、ああ、やってくれるじゃないかー。スカーーーッと一発やっちまってくれ!よし!!なんだかわからんけど、スカッとすることを思いつくままにやってみよう。明日は朝から美容院に行こう、髪をバッサリ切りたい気分だわ。引きこもり、終わりッ!!

 


BEAT ON THE BRAT (RAMONES)


4月26日 うさぎのダンス?


世間ではGWというものが始まったようだ。
春だというのに今日という日は26度の気温、とても暑い一日だった。
今日はブルーベルベットナイトだった。

青い部屋の鍵を開け、セッティングをはじめる。そのとき、青い部屋の中で奇妙な出来事というかハプニングがあった。今までにないハウリが起き続け、鳴りやまないのだ。その音はまるで鏡の国からくるような柔らかく刺々しく聞き惚れてしまうような幻想的なチャイムのような音だった。ピシャーン、ピュオーーーーン、キュィーーーーーーン・・・しかし、反響しているものは何もない。みな、この音は一体なんだろう、どこから来ているのだろう、と首をかしげる。PAの功君は「おかしい。なにか、悪い予感がする」と何度もいったが、私たちはこれも何かに使えないだろうか?などとのんきにその奇妙な音色を楽しんでいた。とにかく今日は特別 な日なのだ。

今回のブルベはいつもより気合いが入った。一週間前に突如、ベースレスでやることが決まったのだ。最大の苦境とも思えたが、3人でやるチャンスもそうないものだろう。こうなったら新曲でいくことにした。せっかく3人なのだから、いつもとは全く違うライブにしたい、どこかショーのようなものを試みたいという気持ちがあった。ブラックジョークも忘れてはいけない。
テーマはデビッドリンチの世界からヒントを得た「虚構と現実」ということになった。眼にするものは過去のものであり記録されたもの。現実で起きている悲しみや過ぎた運命はそこには存在しないのだ。ブルベの本来の趣旨を。ライブ
ハウスじゃない、青い部屋でしかできないこと・・・。しかも青い部屋からすべて始まった私たちにしかできないこと。最後の曲「象牙の塔」で作戦を実行した。

−--すべて録音です。何もかもまやかし-----

終わった後、意味がわかんなかったとかズルイよなどといわれたりもしたが、一度やってみたかったことをやることができた。功君に終わったら即、ある曲を流してくれるように頼んでいた。13thの you're gonnna miss meだ。それを楽屋で聴きながら、あー終わってよかったと脱力していると、私たちのライブを見てベースをやらせてほしいと名乗り出る若者が楽屋に訪ねてきた。彼は死神ジョーなのだろうか?とにかくウェルカムの握手を順番に交わす。
オールナイトは長いだけあっていつものブルベより充実感がある。友人もたくさん遊びに来てくれて楽しいひとときがあっという間に過ぎていった。しかしそのあと悪夢のショータイムが目の前で繰り広げられることになろうとは、やりすぎのブラックジョークにも程がある。見せしめにもほどがある。
悪魔を憐れむ歌が頭の中で鳴り響いた。ストーンズのハイドパークのライブじゃないが、原住民のVOODOOのリズムで悪魔のダンスがいつまでも終わりきれないでいる。終わらないから夢じゃない。これはただの現実なのだ。


今日の日感じたことを私は心の闇に封印することにした。
すべての終わりはすべてのはじまりなのだと、信じているからだ。

象牙の塔 (ダークサイドミラーズ)


4月22日 夢と虚構

さいきん、虚構の虚構について考えている。夢は虚構の森だ。メタフィクション。

私は寝るのが大好きだ。寝るとすぐに、夢をみる。そうだ、今思いついた!子供を生んだら夢子と名前をつけたい。いい名前だなぁ〜!
夢から何かのインスピレーションを受けたり、時にはひどい衝撃を受け胸が張り裂けそうになったりする。昔の人は「夢のお告げ」という言葉をよく使った。私はそういうお告げやら第六感を信じるくちだ。
一度だけ、あまりにも夢らしくない単純な日常の断片を夢で見たせいで、トイレで泣きじゃくりながら嘔吐したことがある。どこまでが夢で、どこからが現実なのかわからなくなって、絶望感と恐怖を感じたのだ。たかが夢に翻弄されてどうする、と思う人もいるだろうか?無意識の中で、このみている夢のことを、REM睡眠というらしい。保健の時間に「高速眼球運動」と習ったっけ。Rapid Eye Movement・・・REM睡眠とノンREM睡眠は90分ぐらいで周期的に繰り返される。深い脳の記憶にある映像やノイズや色が感情が思考なんかの強い電波がぶつかって繋がって奇跡的に生み出された奇妙で複雑なもう一つの世界。

私は小学生の頃からかれこれ、夢日記というのを時折つけている。予知夢の家系ということもあって夢の話を聞いたりしたりするのが私の楽しみの一つでもある。ある時、ある夢を、見た。これは言わなくてはいけないと落ち着かなくなって、その夢を伝えるために電話までして夢の登場人物を呼び出してしまったこともあるぐらいだから、そのとき友人は私のことを少々頭がおかしいと思ったかもしれない。なので、もちろん、「これは!」という楽しい夢の場合も強引に話して聞かせる。それにしても、だ。こわい夢が現実になることほど恐ろしいものはない!!でも毎晩見る夢が楽しみである。


LAZY CRAZY BLUES (SHEENA &THE ROKKETS)

 


4月9日 7分間の快楽

ああ、暖かい日差しが照っている今日この頃である。

春だなぁ。嫌いだったことが突然、好きになったり、今まで意識しなかったことが急に気になり始めたり、春というのは気分がふわふわしている。
強い突風に吹き飛ばされそうになりながらも、今日も頭の中はあることでいっぱいです。このふわふわした季節がそうさせるのかなぁ。

あんなに嫌いだったのに、なんでいつのまにか、好きになってしまったんだろう・・・。なんだかくやしい!でも、しょうがないんだ。体は正直だ、そう自分に言い聞かせながら納得しようとした。でもやっぱりくやしくなってくる。奴隷になんかなるものか!くそー!いつからそんな感情が芽生えたのだろう。きっかけを思い出そうとしたが、ばかばかしくなってやめた。いつだっていいじゃないかと思った。そこに意味なんて求める方がいやらしい。
そんなどうでもいいことを考えながら自転車をこぎつづけて ふと、前を見たら、●●●歯科の前である。

・・・がーん!
自分でもびっくりなことに今日も歯医者に来てしまったのである。しかも、 今日という日は、予約も取っていなかったのにだ!呼ばれてないのに、また来てしまった。まさか・・、「お呼びでない・・?こりゃまた失礼〜!」と首をすくめて帰るわけにもいかない。
これにはわけがある。実はまだ歯が完治していないのである。末期の親不知だったためか、抜歯後の経過がよくないため、治療のために通 っているのである。実際、まだじんじんして痛いのだ。
ああ、建前はそうなのだけど、ああ本当のところは最近、歯医者に行くのが楽しみでしょうがない。
そのことを考えると、口の奥がじ〜んと熱くなってくる。奥歯がむずがゆい。ぎゅっと噛みしめると痛みが広がる。変だなぁ、どうやらこの感じがくせになってしまったみたい。
抜いた歯の部分を舌で触ると、ぼこっと信じられないほど深い穴があいていて、口に空気が入るたびにそこがスースーする。と共にじんわりと鈍い痛みがほおを伝ってくる。これは、今までの激痛とはまた違う。
なんというか・・・・、とても痛ぎもちいのです。

誰もいない待合室でしばらく待った。なんだか落ち着かなかった。やっぱり今日は帰った方がいいかな、いや、ここまで来たのだから帰るわけにもいかない、でも、虫歯や入れ歯やそれこそ親不知で苦しんでいる人たちから見たら、今のこの状態は急患でもないし、今すぐ治療しなくてはいけないという話でもない。なんだか突然押し掛けて、積極的というか、図々しいこの行動が迷惑だったらどうしようと思いながら、ソワソワして順番を待っていると、やっと名前を呼ばれた。中に入ると、お客さんはガラガラだった。しーんとした中にクラシックの壮大な音楽が薄く流れている。あぁこの感じだ!
がらんとした診察室の一番奥の診察台に通される。あぁいつもの席だ! もう愛着さえある銀の長イス。先生が近寄ってきた。
「どうしました?」真剣に聞くので、一瞬どきっとした。私の深層心理を見破られてはいけない。「・・あの、奥歯のところがまだ痛いんです(たいしたことないんだけど。)」
そう訴えると、「あぁー痛いかぁ。まだ完治してないからねぇ〜。」ちょっとホっとする。よかった!
病院に行くだけで気が休まるさびしげな老人みたいに思われなくてよかった。まだ私には歯医者が必要なのだ!ただの暇人か、ただの歯医者好きだと思われたら、こっちだってたまったもんじゃない!しかし、(フフフフフ)と内心笑みがこぼれる。先生よ、知るよしもないだろうが、ここに来るのは、別 の理由があるのだよ。ふふふ。

マスクをした冷静な歯科医が奥歯の奥のえぐれた部分をツンツンとつつきながら、なんかやってる。うぅ〜!まさにそこは・・・!!何をやってるのかわからないが、とにかく激痛を伴う。しかし、ここは耐える時である。今の私には、のちの至福感の大きさがこの痛み具合で大きく左右する重要な瞬間である。痛めば痛むほど、いいのだ。
しばらくして歯科助手が 「口をすすいでください」と言う。紙コップを手に取り、軽くうがいをして水をはき出すと、鮮やかに真っ赤な血が流れていく。コップを元に戻すとまた水が自動的に注がれる。それでもう一回口をすすぐ。それから注射器の針で患部に緑の液体をかけられる。いつものコースだ。うがいをすると蛍光色の黄緑の液体がはき出される。すると、口の中がふぁ〜っと爽快感で満たされる。死にかかった歯茎が息を吹き返して再生していくのを約束するかのような安心感が私を包み込む。
そして、すぐさまヒンヤリとした消毒液に浸したガーゼで患部を押さえつけられる。さすが歯科医だ。ここまでの一連の流れがリズミカルだ。そのまま7分のタイマーをセットされ、その間、歯茎がだんだん感覚を失っていくのに身を任せる。

これが、これがもうたまらなく至福なのである!!!!

クラシックの音楽がまた心地いい! 全身の力が抜けてゆく・・。目を閉じたまま、だらしない口元をしていてもここは歯医者さんなのだ。恥ずかしがる必要もない。安心してそのままリラックス。とにかく、私は痛みを越えた後にやってくる、この瞬間、この7分間に魅せられてしまった。ああ、このたった7分間のために、私はこの1週間というもの歯医者に通 いっぱなしだ・・・。寝る前もこのことを思い出す。時には昼だって知らずに考えている。谷崎潤一郎じゃあるまいし、、!

この風が、春の嵐が。きっとこれは春のせいだろう。


YOU DON'T KNOW (13TH FLOOR ELEVATORS)



4月2日 ホラームービー


私はここだけの話、白状すると、ホラーのスリル患者である。
しかし、仲のよい友人にだってあまりそういう話を語ることはしないよう心がけている。ましてやこんな社会情勢の中だ。誤解を受けるどころか、ひんしゅくを買ってしまう。
ホラーというと子供だましだと思うかもしれない。残酷だと思われるかも知れない。それは正体かもしれない。真実かもしれない。現実的かもしれない。妄想かもしれない。危険かもしれない。 恐怖を見て半狂乱する・・?快楽をおぼえる・・・?笑えない冗談か。悪趣味な変態か?歴代の残虐な殺人鬼の発想だと思うかもしれない。それで街のビデオ屋からホラームービーが大量 に撤去されたこともある。

しかし、ホラーの魅力というのは恐怖やスプラッターのグロテスクだけにあるのではない、と私は思う。タイトルだけで内容を判断しない方がいい。裏で潜んでいたり上辺とは違うその奥にある、何か別 のものが見る者を恐怖のどん底に陥れるのがダークサイドホラーだ!
私が好きな映画にトッド・ブラウニング監督の「フリークス」(1932)がある。この映画は公開当時は世間からさんざんな悪評を立てられた果 てに監督は映画界から追放されてしまった。1960年代に入ってようやく再発見され日の目を浴びた映画だ。舞台は奇形を見せ物にするサーカス団だ。この映画にはある衝撃的なシーンがある。フリークスと花形美女クレオパトラの結婚パーティのシーンである。クレオパトラは小人ハンスの財産を狙っただけの愛のない策略結婚であった。2人を祝うフリークス達が「We accept her、One of us!」と口々に感嘆の声を上げながら大きな杯を順番に回していく。しかしフリークスに囲まれた中でクレオパトラは自分がOne of usではないと思わず杯をひっくり返し怒りに震えてその場を逃げ去ってしまう。この話をスクリーン越しに見ている我々は今までフリークスとノーマルな人間の対比と、ピンヘッド達が無邪気に林の中で戯れる美しいシーンに目を奪われながら、その傍観者としてただ知らない世界を寓話として眺めている。それが突如、このシーンでハッとさせられるのだ。一体誰がノーマルで誰がフリークスなのか。本当に自分はノーマルなのだろうかと突きつけられる。こういうテーマはただの好奇心からくるのではない個人の内面 の問題だ。自分がいるこの世界に属しているということに、この世界が絶対不変の価値を持つということに何の疑問も不安も感じないのが普通 だろう。そもそも「奇形」と「正常」の差異はどこにあるのか。 歪んだ意識、人種差別 、優越感。この映画では根本の人間としてのアイデンティティーや人間観を激しく揺さぶられる。
ミラーズのショウサクはホラーについて語り合える一人だ。フランケンシュタインの苦悩について語らせたら、右に出る者はいないだろう。彼は残酷物語とかそういったグロいタッチもよく見ていて、私はそういうのは苦手だけれど、ダークサイドホラーから現実の恐ろしさについて語り合うとお互い話がつきないのである。今日もその会合が開かれる予定だ。

でもまぁホラーといってもとても深い樹海について語っているようなもので、一概にジャンルとしてホラーというのはビデオ貸し屋に行けばわかるように、区切り線はない。というより、分類できなくなってきているように思う。たいがいがパッケージでのカテゴライズだ。同じ半狂乱というキーワードで選んだとして、殺人鬼ハーフマッドネスを扱った人間ドラマは、ヒューマンサイコのジャンルとかだろうし、そのハーフマッドネスから描いた粗末な人間ドラマはホラージャンル、両方をフューチャリングした映画はカルトジャンル(たいがいホラーと隣接だが)といったふうになるのだから。と勝手なジャンル分けをしてみたところで近所のビデオ貸し屋なんて新作とそれ以外はあいうえお順という訳のわからない陳列だ!これはとても微妙だが、常に新発見がある。ジャンルにへんに惑わされなくていい。
とにかくビデオ屋はもっとホラーコーナーに力入れてほしい!ついでにプロレスコーナーの隣はなんかいやだ。それと!出前レンタルもしてほしい!家でパソコンからちょちょいのちょいで注文できたらいいなぁとつくづく思う。

で、行きつけのビデオ貸し屋は4軒ぐらいあるので、今日は久々に三茶のツタヤにねえちゃんと行った。ここはでっかいだけに品数も豊富だが人も多い!!借りるのに30人ぐらい並んでたりしていて、見ただけでゲー!客が減った隙を見て結局4本借りた。エルビスのGIブルースとチェルシーホテルとテルミンとTHE RIPPER。THE RIPPERは「真夜中の切り裂きジャック」と邦題がついている。二番煎じだろうけど、トムサヴィーニが主演というので、ちょっとだけ興味深い。これは85年のわりと後に作られたものなので、古典からみればストーリー的にも映像的にもわりと駄 作というのは想像がつく。でもそれでも見たいのである。ただのスリル患者なのだ。

Jack The Ripper(The One Way Streets )

 


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